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フォントビジネスを考える上での、もう一つの問題は、「フォントフォーマットはこれからも変わっていくのか」ということかあります。日本語フォントはOCFに始まり、PostScript
CIDになり、現在OpenType化の作業が進行しています。
OpenType化のメリットは、扱える文字数が増えるということもありますが、フォントがクロスプラットフォームで扱えるということもあります。OS内のフォントフォルダにインストールしたときの互換性については、まだすこし時間がかかるかもしれませんが、InDesignのフォントフォルダに入れたときは、OpenTypeであれば、互換性を保つことができるのです。
しかし、フォントフォーマットの変更はOpenTypeで終わるかといえば、必ずしもそうはいえません。OpenTypeもAdobe Japan
1-4の文字セットと、Apple Publishing Glyph Setの二種類があります。これからも、採用字形が増えないという保証は誰にもできないのです。
また、OpenTypeと同時にフォントのユニコード化が進んでいます。日本語のフォントはユニコード化したといっても、ユニコードのうちの英語などの欧米のアルファベットと日本語の文字のみを収録しているにすぎません。
ユニコードには、中国語や韓国語などの文字も大量に含まれていて、ユニコードであればそれらも同時に利用することは可能なのです。ですから、いずれ、CJKのすべての字形を含んだユニコードのフルセットのフォントは望まれるでしょう。ひとつのフォントで、アルファベットだけでなく、日本語と中国語と韓国語が同時に使えるフォントは世界を股にかけてビジネスをしている企業にとってはかならず必要なモノになります。
ですから、フォントは字形の数だけを考えると、まだまだ増えていくと考えなければならないでしょう。OpenTypeにしても、ベースはCIDコードを採用していて、約65,000字にコードを割り当てることができますが、それ以上のなったときは、フォントフォーマットを改訂する必要があります。
また、フォントはこれからは、「創る人」が増えてくる時代になります。フォントのロールアップツールは手軽に手にはいるようになりましたし、一部の字形があれば、あとはソフトウエアで自動生成できるようになってきました。ですから、すべての字形を手書きで作成しなくても、オリジナリティのあるフォントを作成することはそれほど難しいことではなくなっているのです。これからは、フォントデザイナーが増えてくるのではないかと予想されます。
出力については、サブセットのまま出力するダイナミック・ダウンロードが確実に増えてきます。PDF形式の中に字形を埋め込むことで、Illustratorは9.0以降やInDesignなどのアプリケーション、またMac
OS XのようにOSの内部にサブセットでダイナミックダウンロードで出力することも当たり前になってきます。
これからのフォントフォーマットを考えいくと、現在のOpenTypeで打ち止めになるということはありません。フォントフォーマットは時代とともに変わっていくと考えた方がいいのです。その変化に対応できるようにフォントを提供していく仕組みが今求められています。
また多くのフォントデザイナーがクリエートしたフォントが、マーケットで評価される仕組みもまた必要なのです。
フォントフォーマットの変化にも耐え、新しいフォントが誰にでも選択でき、モニタでみたままの出力が可能になることがいまのフォントに求められることではないでしょうか。 |
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