■複数色でカットを着色
スポットカラーをたとえば2色で印刷するとした場合、データの作成にはカスタムカラーを使えば簡単です。レイアウトデータではカスタムカラーで設定したものを出力することができますが、貼り込んだ画像にカスタムカラーを使用しても使えません。Photoshopのダブルトーンは単色の版としてしか認識させることはできないので、ダブルトーンが2版でも3版でも、それは二つなり三つの指定したインキを合成したインキイメージを作るだけであって、それらを分版して認識させることはできません。
このため複数色のスポットカラーの印刷では、ラフ用のデータの作成とフィルム出力用のデータの作成は別のものとして作成する必要があります。ラフ用のデータを印画紙出力する時のように、フィルム用のデータの作成が必要です。
カラープリンタなどでラフ用のデータを作成せずに、そのままフィルム出力する場合は、Photoshopでもレイアウトソフトでもカスタムカラーを使用せずに、CMYKのプロセスカラーを使って印刷するスポットカラーの版を代用します。墨版はK版で、それ以外の版はCMYのいずれかの版で、データを作成しフィルムを出力します。フィルムは必要な版だけ選んで出力すればOKです。K版は出力時に自動的にオーバープリントされてしまうことがあるので、墨以外の版で使用すると、出力時におーぱープリントが適用されインクが合成されて色が変わってしまいます。この場合レイアウトソフト上でも同じプロセスカラーで代用しなくてはなりません。
もしスポットカラーでのラフが必要なときは、データを作り変えるしかありません。まず、Photoshopでスポットカラーと同じ色のカスタムカラーを使って画像を着色します。次にレイアウトソフトで、同じ名前で同じカラーバランスのカスタムカラーを使って、ドローデータやテキストをペイントしていきます。これをカラープリンタで出力し、校了になったら、今度はフィルム出力用のデータに変換していきます。
変換の方法は、画像データは上記のようにCMYKのプロセスカラーで再着色していくしかありません。Photoshopのカスタムカラーのグレースケール情報をプロセスカラーに変換する方法はいまのところありません。同じようにレイアウトソフト上でも、カスタムカラーで指定した色を、プロセスカラーに変換していく必要があります。
Illustratorの場合は、ラフ用の指定の時にプロセスカラーの合成色で着色せず、全てをカスタムカラーで指定していれば、カスタムカラーのダイヤログボックスを開いてカラーバランスを出力するCMYK版いずれか100%のみに設定し、全てのオブジェクトを選択して、<フィルターメニュー>より、[カラー―プロセスカラーへ変換]でフィルム出力用の版が簡単に作成できます。
PageMakerでは<オブジェクトメニュー>から、[カラー定義―編集]でカスタムカラーのスライダーをCMYK版のいずれかのみを100%にし、「種類」をプロセスにして出力すると、特色はCMYK版に置き換えることが出来ます。
QuarkXPressでは<編集メニュー>より[カラー―編集]で同様の方法でカスタムカラーをプロセスカラー版に置き換えることが出来ます。 |
●ダブルトーン2版のダイヤログ |
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※ダブルトーンで二つや三つのカラーを選択しても、いくつかのインキが合成される色が作られるだけなので、分版として出力できない。このことはダブルトーンを合成してもチャンネルがひとつしか出来ないことでもわかる。 |
●フィルム出力のみ場合のデータ作成 |
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●ラフ出力をする場合のデータ作成 |
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●カスタムカラーを一括して変換
◎Illusrtarorの場合 |
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※カスタムカラーのスライダーをCMYKいずれか版のみを100%に設定した後、全てのオブジェクトを選んでカスタムカラーをプロセスカラーに変更する。そしてプロセスカラーで出力すればOK。 |
◎PageMakerの場合 |
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※PageMakerでは<オブジェクトメニュー>から、[カラー定義―編集]でカスタムカラーのスライダーをCMYK版のいずれかのみを100%にし、「種類」をプロセスにして出力すれば特色はCMYK版に置き換わる。 |
◎QuarkXPressの場合 |
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※QuarkXPressでは<編集メニュー>より[カラー―編集]でカスタムカラーのスライダーをCMYK版のいずれかのみを100%にし、「モデル」をCMYKにすればプロセスカラー版に置き換わる。
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