PDFをPDF/Xに変換しなければならないことが多くなってきました。PDF/XはPDFの印刷用に特化した仕様(サブセット)です。オフセット印刷に最適化された仕様を定義してPDFを印刷用に出力するとき、より安全性を保つための規格です。
PDF/Xには大きくわけて「PDF/X-1a」と「PDF/X-3」があります。「PDF/X-1a」はカラーモードにCMYKとグレースケール、モノクロ2階調、特色のみで構成しなければなりません。RGBやICCプロファイルが埋め込まれたカラーは不可です。
「PDF/X-3」は、それらに加えて、ICCプロファイルでタグ付けされたカラーはあちえRGBであっても許容します。ICCプロファイルが埋め込まれていれば(キャリブレーションされていれば)カラーマネージメントが可能になり、出力時に変換してもカラーは再現できるという考えが「PDF/X-3」のベースになっています。
いくらLab値をベースにキャリブレーションしていても、出力時にRGBをCMYKに変換すると、予想しないカラーになることがあります。一般的には「PDF/X-3」は使わずに、「PDF/X-1a」で運用するのがいいでしょう。
PDF/X-1aを作成する方法は、大きくいって2つあります。1つはDistillerで作成する方法です。もう1つは、アプリケーションからPDF書き出しする際にPDF/Xとして書き出すものです。対応するアプリケーションは
Distiller 6.0以降
InDesign CS以降
Illustrator CS2
です。これら以外では単独でPDF/Xは作成できません。
一旦PDF化されたものは、PDF/Xにすることはできるでしょうか。方法は2つです。1つめはAcrobatからPostScriptファイルを書き出して、DistillerでPDF/Xにする方法です。もう1つは、プリフライト機能でPDF/Xに変換する方法です。
ただしPDF/Xにするには、PDF/Xに準拠している必要があります。PDF/Xに変換するためには、条件がありますので、それに合致している必要があるのです。使ってはいけない主なものには
× RGBを利用している
× ICCプロファイルを埋め込んでいる
× 埋め込まれていないフォントがある
× 透明オブジェクトを使っている
× トランスファ関数を指定している
などがあります。これらのオブジェクトが含まれているとPDF/Xにすることできません。
したがって、RGBのCMYK変換やICCプロファイルの削除は[色を置換]で変換し、透明オブジェクトも[透明の分割・統合]で分割します。埋め込まれてないフォントは、PostScriptファイルを書き出して再埋め込みするか、アウトライン化することで対処します。トランスファ関数も、PostScriptファイルを再度書き出すと削除できます。
プリフライトでそのままPDF/Xに変換するには、プリフライトウインドウの[オプション]から[現在のPDFをPDF/Xに変換する]を選択して行います。PDF/X-1aかPDF/X-3を選択して出力条件を設定すれば、PDF/Xになります。
ただし、その際にPDF/Xのプリフライトを行い、PDF/Xの条件に合致しない場合は、プリフライト結果がリストされます。「エラー」がリストされると、「エラー」の対象を解決してから、PDF/Xに変換しなければなりません。
出力条件はデフォルトのものを利用できますが、カスタマイズすることも可能です。出力条件のカスタマイズは、[プリフライト環境設定]の[出力インテント]を開き、出力インテントのICCプロファイルを指定して作成することもできます。
なお、IllustratorのトリムマークがPDF内にあるとき、Acrobat 7.0 Proのプリフライトでは、「代替カラースペースはCMYKまたはGrayではない」という「エラー」がリストされます。これは、Illustratorのトリムマークがレジストレーションカラーになっていて、代替カラースペースに「CMYKまたはGray」が指定されていないためです。
しかし、レジストレーションカラーの出力は問題ありませんし。このアラートはPDF/Xの仕様とは関係ないプリフライト結果です。ただし、[現在のPDFをPDF/Xに変換する]ではプリフライト時に「エラー」が現れると、PDF/Xに変換できません。その場合は、PostScriptファイルを書き出すして、Distillerで変換するしかないようです。
カラー変換やフォントのアウトライン化の方法は『Adobe
Acrobat 7.0 ProからPDFを思い通りに出力する方法:WordからPDFにして出力する裏技満載』を御覧下さい。
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