落とし穴に転落せずにWordから印刷用PDFを作成する方法

■Wordの3つの落とし穴、フォント・罫線・オートシェイプ

　Wordから印刷用としてPDFを作成するとき、落とし穴に転落しないように注意すべきことがあります。その代表的なものが

フォント
罫線
オートシェイプ

です。これらは、印刷用PDFを作成するときは、トラブルを招くことがあります。プリンタからの出力では問題なくても、PDF Makerで印刷用のPDFに変換する場合、そのまま印刷できないことがあるからです。

■埋め込めないフォント、アウトライン送信できないフォントとは

　たとえば、フォントはどうでしょう。Windows 98のころから、WordのドキュメントはPDF化されて印刷されていました。そのとき、Wordで利用しているフォントで、Distillerでそのまま埋め込めないフォントがありました。

　Distillerでサブセット埋め込みできないフォントがあるために、WordからPDFを
作成するとき、アウトライン送信という方式を使いました。プリンタドライバでアウトライン送信すると、埋め込めないフォントも埋め込み可能になるからです。

　ところが、それ以外のフォントで、アウトライン送信すると、問題を引き起こすケースがありました。アウトライン送信では、印刷で正しく出力されないフォントがあるのです。もし、印刷で正しく再現できないフォントでPDFが入稿されたらどうすればいいでしょうか。

＊アウトライン送信すると、文字の線が重なっている部分が白抜きになってしまうフォントはどうする。

■画像化された罫線はそのまま印刷できるのか？

　Wordの罫線はくせ者です。PDF化するときには要注意です。罫線は大きく分類すると、3種類あります。

実線
破線
飾り罫線

です。「実線」はそのまま印刷用に変換できますが、「破線」「飾り罫線」は、画像化されるのです。それも場合によっては、印刷で再現できないような画像に変換されてしまいます。

　「破線」「飾り罫線」を正しく印刷に反映するためには、PDFの変換時の設定が重要です。プリンタドライバの設定とDistillerの設定が正しくなっていて、なおかつ、適切にCMYKに変換する必要があるのです。それができなければ、印刷で再現できなかったり、できても、とても劣悪な印刷結果を引き起こします。

＊飾り罫線を印刷用の設定でPDFにするとダウンサンプルされてしまう。

■設定によっては印刷できないこともあるオートシェイプ

　オートシェイプも謎です。PDF化すると、そのまま使えないことがあります。Windows 2000まででは、プリンタドライバでPostScriptグレー（CMYKの墨）に変換できるオートシェイプのブラックが、XPではできないこともあります。

　また、オートシェイプでは、図形に透明効果を指定できますが、PDF化すると、たいていが透明をキャンセルしたり、とんでもない画像に変換することがあります。Distiller 7.0で適切に変換したときのみ、透明を印刷用に分割・統合することが可能になります。

＊透明を指定して、Distiller 7.0でPDF/X-1aにすると、透明は複数の画像に分割される。

■WordからPDFの変換は大丈夫か

Wordが一般的なドキュメントを作成するとき、もっともよく使われます。ビジネス用途でも、Wordなくして書類を作成することは考えられません。MS Wordで作成したドキュメントをそのままプリンタから出力するのであれば、問題はありません。

しかし、Acrobatが一般法人企業に普及するに従って、

Wordから作成したPDFをそのまま印刷したい

という声が多くなってきました。手元にあるWordとAcrobatがあれば、社内で作成したドキュメントをそのまま印刷することができるからです。つまり、内製化によってコストダウンを図ることができます。

PDFであれば、適切なジョブオプションを使えば、そのまま印刷できると思っている人は少なくありません。しかし、WordはGDI（Graphics device interface）といいって、OSの描画機能を利用してモニタ表示用のデータを作成しています。

しかし、印刷用のPDFは、このGDIが書き出したモニタ描画用のデータを受け取って、PDFに変換するのです。そうすると、完全に印刷に最適化されたPDFに変換できるかどうかは、だれにも保証できません。処理がややこしくなると、罫線のように

画像に変換

して、見せかけだけを整えます。RGBの画像に変換されると、そのまま印刷できないこともあるのです。

■本書でわかることとは

　『落とし穴に転落せずにWordから印刷用PDFを作成する方法』は、これらのWindows環境のWordからPDF Maker（Distiller）で作成されるPDFの基本的な設定方法と、印刷でトラブルを招くWordの使い方をまとめたものです。

　つまり

ドキュメント作成時の落とし穴
プリンタドライバ設定の落とし穴
Distiller設定の落とし穴
印刷用PDF変換の落とし穴

についてわかりやすく解説しています。

　はっきりいって、Wordからの印刷用PDFの問題をこれほど深く掘り下げて検証した書籍は他にはありません。WordのドキュメントをPDFに変換したとき、どのようなPDFのデータになるのかということを、ここまで極めた書籍は類をみません。

　本書が対応するバージョンは、いまのところ最新版のWindows XPだけでなく、Windows 98や2000も含み、各バージョンの違いもわかるようになっています。

Windows 98/MS Word 97/Distiller 5.0
Windows 2000/MS Word 2000/Distiller 5.0
Windows XP/MS Word 2002/Distiller 7.0

の3つの環境の違いを踏まえつつ、PDF作成の方法とその問題点を、そして解決方法をとりあげます。

　本書を開けば、

などが一目瞭然です。

　これからますます、WordからのPDFでそのまま印刷することは増えてくるでしょう。Wordから印刷用のPDFに変換する、デザイナーや印刷会社だけでなく、Wordで印刷用ドキュメントを作成して内製化したい企業担当者にも、是非とも手元に置いていただきいのか本書です。Wordからの印刷用PDFでは、「必携」の一冊です。

■お申込いただいた皆様の声を紹介します

『落とし穴に転落せずにWordから印刷用PDFを作成する方法』をご購入いただき、実務で活用されている方々の声をご紹介します。ご意見をお寄せいただきありがとうございました。

●プリンドライバの解像度も○○○dpiがいい！
（東京都中野区：DTP出力オペレータ：jake様）

　「色を置換」をつかったCMYK変換に興味があって申し込みました。Wordでも透明を作成し、分割統合の機能でフォントをアウトライン化する方法があることを知りました。プリンドライバの解像度も○○○dpiがいいということは知りませんでした。最近は、WordからPDFを作成するドキュメントを出力することが多く、この本のテクニックが大活躍です！

　プリンタドライバの解像度設定は、とても重要ですね。この設定こそが、WordがWindowsのGDIのデータを強制的にPDFに変換しているとこを表しています。無理矢理PDFにするので、ほころびが生まれます。それを回避するためには、適切な設定が求められるわけです。解像度を適切に設定して、トラブルのない出力にお役立てください。（上高地仁）

●OfficeデータはPOD出力でも課題です！
（石川県白山市：営業：明様）

　業務としてPODのシステムを販売しています。プリンタ出力でも、Officeデータの
ハンドリングは課題になります。印刷(POD)へ渡す際の事故のないハンドリング方
法として、顧客へ紹介出来れば面白いかなぁ、と思ったのが申し込むきっかけで
す。本を開いて見て、Distillerの設定が役に立ちました。また、プリンタドライバの
設定も役に立ちました。過去はやはり2400dpiにしていたので、それよりも適して
いる設定が分かったのは助かりました。

　印刷するためにDistillerとプリンタドライバの設定はとても重要です。残念ながら、デフォルトのままでいいというわけにはいきません。Distillerも、印刷用のプレス品質のままでは使えませんし、プリンタドライバも、印刷を想定した設定でPDFを作成していただくと、WordからのPDFでも印刷しやすくなります。（上高地仁）

●Wordドキュメントを出力する上でたいへん役に立つ参考書です
（大阪市福島区：DTP制作オペレータ：papun様）

　Windows XPのWord入稿ファイルに、Windows XP上で改訂を加え、Mac OS Xにて出力用ファイルを作成しています。AdobePDFを「通常使うプリンタ」に設定する事で、作業の見通しが非常に良くなりました。WindowsのWordドキュメントを出力できるように編集加工するために、たいへん役に立つ参考書です。ありがとうございました。

　Word本はたくさんありますが、オフセット印刷のための本はそれほど多くありません。また、出力や印刷のトラブルを具体的に解説し、対応策を詳しく書いた本になると、類を見ないと思います。実務に、是非お役立てください。（上高地仁）

●Wordからの持ち込みのデータが増えて対応に追われています。
（札幌市北区：DTP制作オペレータ：村正様）

　Wordの罫線の問題でトラブルがあったので、タイムリーでした。WordからPDFに変換したときのカラープロファイルがどうなるのか興味があり、申し込みました。うちの印刷会社も、Wordからの持ち込みのデータが頻繁に入ってくるようになり、対応に追われていたさなかでしたので、大変助かりました。ありがとうございました。

　Wordの罫線ほど、PDF化したときに、ややこしい処理をしているものはないかもしれません。Windowsのバージョン毎に処理の方法が異なり、開発者の方がそれなりに苦労していることが感じられます。ただ、そういうGDIの仕様の変更がユーザーにはわからないのが辛いところです。仕様さえわかれば、対応はできるんですけどね。（上高地仁）

■『落とし穴に転落せずにWordから印刷用PDFを作成する方法』を
　お申込された方のとっておきのボーナス特典です。

　WordからPDF Makerで印刷用データ作成ノウハウをより確実に、身につけていただくために、次のような特別のボーナス特典を用意しました。是非、ご活用ください。

検証に使用したファイル一式を差し上げます。

本書執筆時に利用した検証用のファイルが含まれています。本書の内容を検証用ファイルを利用して再確認していただくことで、より確実に本書の内容を理解していただけます。

WordでするPDF作成ガイドWord版

『プリプレス用PDF作成ハンドブック』のWord（Windows 98と2000）用のPDF作成ガイドと、収録されていないWindows XP（Word 2002/Distiller 7.0）仕様のPDF作成ガイドのPDF版を差し上げます。（左はプリントアウト見本です）

Acrobat 7.0 Pro、Word用プリフライトプロファイル

『Acrobat 7.0 Pro CMYK実践プロファイル集』にある

Word：CMYK実践プロファイル集

を差し上げます。トラブルのあるWordからのPDFをプリフライトできます。

『落とし穴に転落せずにWordから印刷用のPDFを作成する方法』
上高地仁著/A4/約128P/2006年09月12日初版/インクナブラ刊行

検証用ファイルとスクリーンブラウズ用PDFが収録されたCD付

販売価格：12,600円

一般販売価格：12,600円　DTP-S倶楽部会員価格：10,500円

■テキスト解説音声ファイルバージョン版

『落とし穴に転落せずにWordから印刷用PDFを作成する方法』の内容を解説した音声ファイルです。特典CDに収録しています。この特典は別バージョンになります。

『落とし穴に転落せずにWordから印刷用のPDFを作成する方法』
テキスト解説音声ファイル付き
上高地仁著/A4/約128P/2006年09月12日初版/インクナブラ刊行

検証用ファイルとスクリーンブラウズ用PDFが収録されたCD付

販売価格：18,900円

一般販売価格：18,900円　DTP-S倶楽部会員価格：16,800円

WordからのPDFを出力するには、是非

『Acrobat 7.0 ProからPDFを思い通りに出力する方法』

をご活用ください。あなたのPDF出力環境を劇的に改善します。
お得なパックを用意しました。是非、あわせて申込みください。なお、お届けは、同梱での発送になります。

＋

『落とし穴に転落せずにWordから印刷用PDFを作成する方法』
上高地仁著/A4/約128P/2006年09月12日初版発行/インクナブラ刊行

検証用ファイルとスクリーンブラウズ用PDFが収録されたCD付

セット予約販売価格：29,400円＋12,600円＝39,900円

一般販売予約価格：39,900円　DTP-S倶楽部会員予約価格：33,600円

＋

『落とし穴に転落せずにWordから印刷用PDFを作成する方法』
テキスト解説音声ファイル付き
上高地仁著/A4/約128P/2006年09月12日初版発行/インクナブラ刊行

検証用ファイルとスクリーンブラウズ用PDFが収録されたCD付

セット予約販売価格：29,400円＋18,900円＝44,100円

一般販売予約価格：44,100円　DTP-S倶楽部会員予約価格：37,800円

あなたが、Wordでの入稿やWordから作成されたPDFを印刷することがないのであれば、本書は不要です。お申込いただくことはありません。しかし、Wordで作成したドキュメントを印刷するのであれば、知っておくべきことがもここに書かれています。

Wordからのドキュメントに「苦手意識」を持ち続けるのか、それとも安心して入稿できることがいいのか、よく考えてください。あなたのお申込をお持ちしています。


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