|
|
───インクナブラPDF出力実践セミナー───
|
第8回◆Acrobat
7.0 Proのプリフライトをそのまま使う方法 |
Acrobatは6.0以降、プリフライトの機能を内蔵しました。PDFが使用用途に最適化されているかを調べるための機能です。印刷用の使うことが大半でしょうが、プリフライト条件をみていくと、プリフライトで調べる内容は、PDFリファレンスにあるPDFの仕様を調べるようになっています。
Acrobat 7.0 Proではプリフライト機能も強化され、さらに詳しく調べることができるようになっています。しかし、プリフライト条件は数多くあります。グループだけで20あり、さらにプロパティが数十個用意されています。プリフライトは、これらの条件で絞り込んだ規則を束ねたものです。
印刷用のプリフライトプロファイルを作成するには、最低でも10以上の規則の作成が必要です。PDFが印刷に最適化されているかどうか調べるわけですから、画像やフォント、カラーモード、ヘアライン、印刷用では必要でない要素などを調べる必要があります。
プリフライトの仕組みと構成を理解し、適切なプリフライトプロファイルを作成するのは簡単ではありません。プリフライトプロファイルを作成するというのは、PDFリファレンスの内容を熟知する必要があるのです。
それでは、本当にいちからプリフライトプロファイルを作成する必要があるのかというと、必ずしもそうではありません。基本的なものは、デフォルトで用意されたものを利用すればいいのです。
印刷用PDFのプリフライトでは、デフォルトで用意されているプロファイルをそのまま使いましょう。プロファイルのうち太字になっているのは、[プリフライト編集]で[よく使うプロファイル]がチェックされているものです。通常は「PDF/X-1a:2001
準拠」を使えばいいでしょう。
「PDF/X-1a:2001 準拠」では、通常のオフセット印刷で解析すべき内容を調べますので、そのまま使えばいいのです。ただし、PDF/X-1aでないPDFをそのまま[実行]すると、PDF/X関係のプリフライト結果のリストが現れます。
リストされるプリフライト規則のうち、PDF関係で無視していいプリフライト条件は
× GTS_PDFXVersionのキーがない
× PDF/Xのラベルがないか、または正しくない
× トラッピングキーがTrueかFalse以外
× 出力インテントがない
です。これらを無視して、それ以外の解析結果をチェックしていけば、印刷用のPDFかどうかのプリフライトは可能です。
さらに詳細に調べたい場合は、「Webオフセット」や「シートフィードオフセット」などの個別のプリフライトプロファイルで調べます。「Webオフセット」はオフセット輪転機用のプロファイルで、「シートフィードオフセット」は、枚葉のオフセット印刷機用のプリフライトプロファィルです。
「Webオフセット」にある「コールドセット」と「ヒートセット」の違いは、強制乾燥するかどうかの違いと思われますが、プリフライト規則をみると、その違いは線と塗りつぶしのインキ総量が異なっています。「コールドセット」はインキ総量が「240%」を越えているものを「情報」としてリストし、「ヒートセット」は「310%」を越えているものをリストします。商業印刷物では「ヒートセット」を、新聞では「コールドセット」を選択すればいいでしょう。
また、プロファイルに「中解像度」とあるものは、カラーやモノクロ画像の解像度の最大値が「300 ppi」以上のものをリストします。そうでないものは「450ppi」以上のものがリストされます。プリント出力用では「中解像度」の指定があるもの、印刷用ではないものを使います。
デフォルトのプリフライトは基本的なものだけをリストするようになっています。ただし、Wordの罫線のように印刷で再現できない罫線はリストできない可能性があります。
画像化されるWord罫線を調べる方法は『Adobe Acrobat
7.0 ProからPDFを思い通りに出力する方法:WordからPDFにして出力する裏技満載』の「テキストの応用編─RGB化された墨の罫線をCMYKの墨ベタにする方法」を御覧下さい。
|
DTP-Sウィークリーマガジン/239号/206.1.11配信
|
|
Acrobat Professional 9 日本語版 WIN 通常版
発売元:アドビシステムズ/Windows XP以降/メディア:DVD-ROM/発売日:2008/7/11
さまざまなコンテンツを1つのPDFポートフォリオにまとめて、視覚的に管理・閲覧できるプロフェッショナル版。出力プレビュー、色を置換、プリフライトやフィックスアップなど印刷用の機能をすべて網羅している。
|
|