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───インクナブラPDF出力実践セミナー───
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第7回◆グラデーションをブレンドに変換したPDFにする方法 |
PDF内のグラデーションの表現方法にはいくつかの種類があります。通常は、スムーズシェーディングでグラデーションが表現されます。スムーズシェーディングはPDF1.3から対応しています。ただし、IllustratorのグラデーションをDistiller
4.0でPDF化したりすると、グラデーション部分がスムーズシェーディングにならないようなケースもあります。
IllustratorやInDesignからPDF保存した場合や、Distiller 5.0以降でPDFした場合、ドキュメント内のグラデーションはスムーズシェーディングとして処理されます。QuarkXPressのグラデーションも、基本的にはスムーズシェーディングに変換されます。
スムーズシェーディングは、PostScript 3以降に搭載された機能です。昔はグラデーションを再現するには画像化するか、ブレンド化するしかありませんでしたが、
その場合、高品質なグラデーションの表現が難しいために、スムーズシェーディングが開発されたのです。
スムーズシェーディングでは、グラデーションをいくつかのシェーディングパターンに分けて記述命令を保持するようになっています。また、グラデーションの品質も最大4,096階調まで表現できるようになっています。
IllustratorやInDesignのグラデーションは、スムーズシェーディングにそのまま変換できるデータ形式に保持され、PDF化されるときにスムーズシェーディングとして保存されるのです。
スムーズシェーディングの出力に際しては、PostScript 3対応の出力機が原則として必要です。PostScript
Level 2ではスムーズシェーディングに対応していないからです。
ところが、PostScript 3の出力機の中には、PDF内のスムーズシェーディングが正しく出力できないものがあります。たとえば、グラデーション部分が消失したり、ベタや平網に変換されてしまうのです。すべてのPostScript
3の出力機で発生する現象ではなく、PostScript 3でも初期に販売された一部のRIPで発生する現象です。
PDF内のスムーズシェーディングは、それに対応している機種であれば、まったく問題はありません。しかし、どの出力機を利用するかわからないときは、PDF内のグラデーションを利用するのは危険です。PDF内にグラデーションがあるときは、出力サイドでの確認が不可欠です。
スムーズシェーディングに対応していないPostScript 3のRIPやLevel 2のRIPから出力する可能性があるときは、PDF内のグラデーションを出力できるデータ形式に変換するしかありません。変換するデータ形式とは、ブレンドに変換することです。ブレンドは単なる塗りオブジェクトが重なったり、連なったりして、あたかもグラデーションのように見せているだけですから、どのような出力機からでも出力可能です。
PDF内のスムーズシェーディングをグラデーションに変換するには、PostScriptファイルを書き出すしかありません。Acrobat
7.0 Professionalの[印刷工程パレット]にも、スムーズシェーディングのみを指定してブレンドや画像に変換する機能はないからです。
ブレンドに変換するには、Acrobat 5.0以降を使い、まず、ファイルメニューで別名保存(Windowsでは[名前を付けて保存])を選択します。次に「PostScript」を選んで(一般タブ)、PostScriptのレベルを「2」にするのです。それでPostScriptファイルを書き出して、Distillerで再度PDFにするのです。
PostScriptを「レベル2」で書き出すと、PDF内のスムーズシェーディングはブレンドに変換されたPostScriptファイルが作成されます。というのは、「レベル2」ではスムーズシェーディングに対応していないので、Acrobatが強制的にブレンドに変換してしまうのです。
PostScript Level 2にしたグラデーションは、最大階調が256階調しかありません。ですから、グラデーションの品質としては高品質とはいえませんが、印刷用で利用する場合は、まず問題なく利用できます。高品質なブレンドにするには、PDFをIllustratorで開いて、グラデーション部分の塗りを分割するしかありません。塗りの分割では、最大10,000個のオブジェクトまで分割できます。
PDF内にグラデーションがあるかどうかは、Acrobat 6.0 Professionalではプリフライトで調べることができます。Acrobat
7.0 Professionalでもプリフライトで可能ですが、[出力プレビュー]でも[表示]で「スムーズシェード」を選択すると、表示しているページのスムーズシェーディングのみが表示されます。
グラデーションメッシュもスムーズシェーディングではないデータに変換されます。グラデーションは画像化されるのです。
詳しくは『Adobe Acrobat 7.0 ProからPDFを思い通りに出力する方法:WordからPDFにして出力する裏技満載』の「オブジェクト変換編─グラデーションをブレンドに変換して出力する方法」を御覧下さい。
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DTP-Sウィークリーマガジン/220号/2005.7.15配信
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