ドキュメントを作成するとき、不用意に特色を利用することがあります。特色で印刷するから特色を利用する場合もありますが、CMYKなのに特色で指定してそのまま保存されたドキュメントもあります。特にIllustratorでは、カラーチャートを見ながら指定しない場合、ライブラリの特色データがそのまま利用されることがあります。
さらに、ややこしいのは、同じような特色を何種類も指定しているケースです。最初に利用した特色を、あとで別の特色に変更したにもかかわらず、ドキュメント上で古い特色が変更されてないケースもあります。そうなると、同じ特色として出力しなければならないにもかかわらず、複数の特色が指定されてしまうことになります。
このようなデータは、オリジナルのドキュメントを開いて、特色の指定をすべてチェックしていくしかありません。そして、プロセスカラーか別の特色に変換するのです。なかなかたいへんな作業です。
一般にDTPの出力では、特色の指定は歓迎されません。出力機からの特色指定の出力はややこしいのです。そのために、特色で印刷する場合でも、プロセスのチャンネルを利用して指定することがよく行われています。この場合のデメリットは、モニタやプリンタで特色指定の仕上がりを確認できないことです。
特色で指定して、出力前にCMYKのいずれかのカラーに変換できれば、ドキュメントで特色を指定しても、出力で戸惑うことはありません。特色を含んだドキュメントをPDF化して、Acrobat
7.0 Professionalで開くと、特色をプロセスカラーの指定したチャンネルに変換することができます。
Acrobat 7.0 Professionalの印刷工程パレットには「インキ」という機能があり、ここではPDF内の特色を別のカラーに変換することができます。ここでのカラーは、CMYKに分解して変換するだけでなく、別の特色やプロセスカラーの一部にも変換できるのです。
たとえば、DIC 100番というシアン系の指定があるとしましょう。「インキ」ウィンドウを開いてDIC 100を選択します。ウィンドウ下部のオプションに「インキエイリアス」という項目があり、ここを開きます。そうすると、プロセスの各チャンネルとドキュメント内で使われている別の特色がリストされます。
DIC 100をシアンに変換したければ、「プロセスシアン」を選択します。もし同じような特色があり、それも同じ「プロセスシアン」を指定すると、両方ともがプロセスシアンになります。
この機能を利用すると、作成者が不用意に特色を指定しても、Acrobat 7.0 Professionalから分版出力する際に、指定したチャンネルに変換することができます。ただし、この方法はPDFに変更を加えないので、あくまでAcrobat
7.0 Professionalの出力時にのみの対応になります。
それでは、PDF内の特色を強制的にCMYKのチャンネルに変換するには、どうすればいいでしょうか。それは、「色の置換」機能を使うのです。この方法ではPDFのカラー変更しますので、完全に特色を別の特色やカラーチャンネルに変換することができます。
「色の置換」ウィンドウを開き、「文書の色」から変換したい特色を選択し、「プロファイル」でCMYKのプロファイルを選択します。「アクション」を開くと、プロセス内のチャンネルや別の特色が選択できるようになります。これで変換して、あとは、別名保存しておくと、RIPのホットフォルダでCMYKとして出力できます。
特色の扱いはいままでたいへんやっかいでしたが、PDF化してAcrobat 7.0 Professionalで自在に編集することができるようになりました。ただし、特色で指定して勝手にCMYKに変換してしまったものを特色に戻すことはできません。しかし、ドキュメント内の特色はPDF化することで分版出力しやすくなっています。PDF内の特色は、Acrobat
7.0 Professionalでたいていがハンドリングできるようになっています。
PDFに含まれてない特色に変更したいときは、どうすればいいでしょうか。ある方法でPDFに含まれてない特色に変換し、その特色をたとえば「マゼンタ100」などにしておくと、さらにCMYK分解してマゼンタ版で出力することも可能です。
詳しくは『Adobe Acrobat 7.0 ProからPDFを思い通りに出力する方法:WordからPDFにして出力する裏技満載』の「カラー変換編─特色を別の特色もしくはプロセス色に変換する」を御覧下さい。
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