PDFのメリットは、ドキュメントのファイルサイズが小さくなることです。ファイルサイズを小さくするためには画像をJPEGで圧縮しなければなりません。PDFのファイルサイズを決めるのは、ほとんど画像のサイズだからです。PDF内に埋め込まれた画像を軽くしてファイルサイズを小さくするのです。
むかしはJPEGの圧縮は歓迎されませんでした。JPEGで劣化した場合、印刷したときにどのように劣化するのかがわからなかったからです。しかし、高画質圧縮での利用であれば、ほとんど問題なく利用できることが理解され、いまでは当たり前のように利用されています。
JPEGを使う上での問題点は、アルゴリズムの異なるJPEG圧縮を何度も行わないということです。JPEGは非可逆圧縮といって、画質が確実に劣化します。高画質であれば、それがほとんど気にならないだけなのです。一度くらいであれば、劣化はほとんど目立ちませんが、たとえ高解像度であっても、何度もJPEGを重ねると少しずつでも画質は劣化します。
アプリケーションにJPEG画像を貼り込んで、PDF化するときにもう一度異なるアルゴリズムでJPEGを行うと、画質の劣化は進みます。もちろん、再高画質を選択していれば、2〜3回JPEGを重ねても、劣化が印刷時に反映されることはまずありません。
しかし、できれば、一度JPEG圧縮したものは、もう一度JPEG圧縮を重ねないほうがいいに決まっています。異なるアルゴリズムでJPEG圧縮を重ねると、画質が劣化するだけでなく、ファイルサイズが小さくなるとは限らないからです。むしろ一度JPEG圧縮された画像を再度JPEG圧縮すると、ファイルサイズは圧縮されにくくなります。
PDFを作成するとき、再度JPEG圧縮を行わないようにするには、Distiller 6.0以降で可能です。Distiller
6.0以降の詳細設定には「可能な限りJPEG画像を変換しない」というオプションがあり、それをチェックしていると、PostScriptファイル内のJPEG画像はDistillerで再圧縮しないのです。
また、Acrobat 7.0 ProfessionalのPDFの最適化でも、画像圧縮のオプションに「既存を保持」という選択肢があり、これを選ぶと、JPEG画像を再圧縮しないでPDFが最適化されます。
印刷用のPDFを作成するときは、できるだけ少ない回数でJPEG圧縮するように心がけましょう。アプリケーションに画像を貼り込むときも、最初は圧縮していない画像を貼り込む方が安全です。JPEGやJPEGエンコーディングのEPSではなく、Photoshop形式などにします。そうなると、オリジナルのデータサイズは大きくなりますが、PDF化したときにより高品質で軽いPDFを作成することができます。
また、Acrobat 7.0 ProfessionalでPDFを加工したり編集したりすると、PDFのバージョンが1.6になります。その場合は、PDFバージョンを出力可能なバージョンにまで下げる必要があります。バージョンのダウンは、7.0のPDFの最適化で「既存を保持」を選択したオプションで行うようにしましょう。
Acrobat 7.0 ProfessionalでPDFを編集すると、PDFのバージョンが「1.6」になります。PDFのバージョンをダウンさせ、JPEGを保持したままPDF書き出しします。
詳しくは『Adobe Acrobat 7.0 ProからPDFを思い通りに出力する方法:WordからPDFにして出力する裏技満載』の「ページ情報変換編─PDFのバージョンを印刷に最適化してダウンする」を御覧下さい。
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