ドキュメントをカラーで作成していても、印刷する場合にグレースケールに変換しなければならないことがあります。グレースケールで印刷する場合はグレースケールで作成すればいいわけですが、グレースケールで作成したつもりでもカラーで指定されたオブジェクトが含まれていることもあります。
また、PDFはカラーで利用し、印刷だけグレースケールというケースもあるでしょう。同じデータをカラーとグレースケールの両方で利用するときは、アプリケーション側でカラーをグレースケールに変換する必要が生じることもあります。
印刷するときにグレースケールに変換するのは、たいていイメージセッタやCTPの出力機で可能です。出力機には、強制的にグレースケールに変換する機能があります。ただし、一部の出力機で、PDFを強制的にグレースケール変換できないものもあります。
「グレースケール変換は出力機ですればいいじゃないか」といえますが、出力機任せではトラブルになる場合もあります。とうのは、かけ合わせの色がすべてグレースケールに変換されるわけですから、カラーでは異なる色なのに、濃度が近いために、グレースケール化したときにほとんど同じグレー濃度になることもあります。色の違いがグレー濃度の違いで判別できない可能性もあるのです。
また、グレースケール化されたときの濃度がイメージと異なるケースもあります。印刷した後で濃すぎたり、薄すぎたりするとクレームになることもあります。
そういう場合は、Acrobatで事前にグレースケールに変換してしまいましょう。グレースケールへの変換は、PostScriptファイル書き出しでできます。Acrobat
6.0 Professionalでは、[カラー]で「ソースのまま」を選択して、[色]で「コンポジットグレー」を選択します。そしてDistillerでもう一度PDFにすれば、すべてのカラーはグレースケールに変換されます。
Acrobat 7.0 Professionalでも同じようにすればいいかというと、そうではなく、Acrobat
7.0 ProfessionalではPostScriptファイルを同じように書き出すと、墨ベタの部分がベタになりません。Labに変換されてもう一度CMYKに変換されるようで、7.0ではPostScriptファイルからの書き出しは使わない方がいいでしょう。
それでは7.0ではどうすればいいのかというと、これは簡単で[色を置換]を使うのです。文書の色を選択して、アクションで「変換」を指定、そして変換後のカラースペースに「Dot
Gain 15%」などを指定します。「墨のオブジェクトを維持」をチェックしていると。墨ベタは墨ベタのまま維持されます。
選択するドットゲイン値によって、グレースケール化する濃度はかわります。ドットゲイン値が高いほど、グレースケールの濃度は薄くなります。逆に低いと濃くなります。濃度を上げたいときは、高いドットゲイン値を選択し、淡くしたいときは低いドットゲイン値を選択します。
グレースケールに変換した後、モニタやプリンタで全体のバランスや濃度差のわかりにくいところを確認します。また、分版プレビューを開き、墨ベタの部分の濃度値をしらべて「100%」になっていることも確認します。
デジカメのRGB画像をAcrobatでグレースケールに変換するには、注意が必要です。そのまま変換するとシャドウ部が潰れしてしまうことがあります。
詳しくは『Adobe Acrobat 7.0 ProからPDFを思い通りに出力する方法:WordからPDFにして出力する裏技満載』の「カラー変換編─コンポジットカラーをグレースケールに変換する」を御覧下さい。
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