MS Wordのように、ドキュメントカラーがOSに依存するアプリケーションからPDFを作成すると、PDFのカラーモードは基本的にRGBになります。印刷用のPDFではカラーはCMYKに変換する必要があります。CMYKの変換は出力機のRIPでも可能ですが、Acrobatでも可能です。
Acrobatで変換するとき、Acrobat 7.0 Professionalを利用するのがもっとも便利です。印刷工程ツールバーにある[色を置換]で、RGBをCMYKに変換するだけです。「デバイスのRGB」を選択してアクションで「変換」を選択します。そして変換後のカラースペースにターゲットにするCMYKのICCプロファイルを選択します。
RGBのPDFの場合、注意したい点に、墨文字の扱いがあります。RGBの墨文字はそのままCMYKに変換すると、CMYKすべての成分が含まれるリッチブラックになってしまいます。Windows側のプリンタドライバのプロパティで「グレーテキストをPostScriptグレーに変換する」をチェックしていると、RGBの墨文字はCMYKの墨文字に変換されます。
通常では「グレーテキスト(もしくはグラフィック)をPostScriptグレーに変換する」をチェックしてPDFを作成すると、出力しやすいPDFが作成されます。ところが、Acrobat
7.0 Professionalでは、[色を置換]の変換オプションで「墨のオブジェクトを維持」を選択していると、PostScriptグレーに変換されていないRGBの墨ベタがちゃんとCMYKの墨版に変換されるのです。
Acrobat 7.0 Professionalでは「デバイスのRGB」を選択してターゲットのCMYKを指定します。そして変換オプションで「プロファイルを埋め込まない」と「墨のオブジェクトを維持」を選択して変換すれば、RGBの墨はCMYKの墨版に置き換えられたPDFに変換されます。
Acrobat 6.0 Professionalでは、RGBのPDFはCMYKにそのままでは変換できません。変換するには、別名保存でPostScriptファイルを書き出して行います。PostScriptファイルを書き出すときのカラーのオプションで、CMYKのカラープロファイルを選択すれば、RGBがCMYKに変換されたPostScriptファイルが書き出されます。あとは、書き出したPostScriptファイルをDistiller
6.0でPDFにすれば、CMYKに変換されます。
ただし、Acrobat 6.0 ProfessionalのPostScriptファイル書き出しには、「墨のオブジェクトを維持」という機能はありません。PostScriptグレーに変換されていないRGBの墨ベタはリッチブラックになります。
これを回避するには、Photoshopで墨版生成が最大のカラー設定ファイルを作成し、そのプロファイルを割り当ててPostScriptファイルを書き出します。ただし、カラー値は墨版量が多くなりますので、カラーの再現を考えるとおすすめできません。RGBブラックが使われているMS
WordからのPDFは、Acrobat 7.0 Professionalで変換するようにしましょう。
[色を置換]で変換できないRGBブラックや、すでにCMYKに分解されたリッチブラックも墨ベタのみにできます。
詳しくは『Adobe Acrobat 7.0 ProからPDFを思い通りに出力する方法:WordからPDFにして出力する裏技満載』の「カラー変換編─RGBのオブジェクトをターゲットCMYKに変換する」を御覧下さい。
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