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───インクナブラPDF出力実践セミナー───
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▼Acrobat
8 Professional新機能その10 Distillerとプリフライトで変換する「PDF/A」 |
Distillerは8になってどのように変わったでしょうか。Acrobatの起動は、[アドバンスト]メニューの最上段にあったメニューが[印刷工程]のサブメニューに移動しています。ジョブオプションでは、「PDF/A」のオプションが追加されています。
Distillerを開いて[Adobe PDF設定]の[デフォルト設定]を開いてみます。7.0のデフォルト設定の違いは、PDF/AのAdobe
PDF設定(ジョブオプション)が追加されていることです。
PDF/A-1b:2005(CMYK)
PDF/A-1b:2005(RGB)
の2つのPDF/Aが用意されています。
PDF/Aは、アーカイブとして長期保存するためのPDFのサブセットのフォーマットです。主な特徴は
出力インテントもしくは埋め込みでカラースペースを指定
画像は非可逆圧縮のみ(LZWを禁止)
外部のファイルやアプリケーションの利用は禁止
フォントはサブセット埋め込み
フォームフィールドの禁止
代替イメージの禁止
メタデータが必要
マルチメディアコンテンツ埋め込みの禁止
セキュリティの禁止
などがあります。将来にわたってPDFが利用できるように、仕様が決められています。「PDF/A-1a」 はISO 19005-1に完全準拠していますが、「PDF/A-1b」は完全準拠ではありません。「PDF/A-1a」が求められている仕様に文書構造化タグやユニコードMapがありますが、それらは対象外になっています。
こうして比較すると、「PDF/A-1b」はPDF/Xと大きな違いはあまりありません。PDF/Xは印刷用の印刷条件や参照するレジストリが必要でしたが、そうしたものは必ずしも必要ではないことくらいでしょう。
大きな違いがあるとすれば、PDF/Xが[互換性のある形式]で「Acrobat 4.0(PDF 1.3)」準拠が選択されているに対して、PDF/Aでは「Acrobat
5.0(PDF 1.4)」になっているこでしょう。PDF/A-1aが文書構造化タグを仕様に含めている以上、対応するPDFのバージョンは「PDF
1.4」にするしかありません。
ただし、「PDF/A-1b:2005(CMYK)」の[互換性のある形式]で「Acrobat 4.0(PDF 1.3)」に変更しても、PDF/A-1bは作成されました。
Distillerの[Adobe PDF設定]には2つの「PDF/A-1b」が用意されていますが、これらは出力インテントで指定されているICCプロファイルが異なるだけです。CMYKの出力インテントが指定されているものと、RGBの出力インテントが指定されているものです。
PDF/A-1b:2005(CMYK) U.S. Web Coated (SWOP) v2
PDF/A-1b:2005(RGB) sRGB IEC61966-2.1
になっています(ベータ版)。これらの出力インテントは、必ずしも上記のものである必要はなく、PDF/Aにするためには、出力インテントが指定されていれば仕様に準拠します。
もし、印刷用で使用したPDFをPDF/Aにするのであれば、「Japan Color 2001 Coated」などの印刷用のCMYKを指定すべきでしょう。
また、カラーモードの異なるオブジェクトがあると、カラーは変換されます。CMYKで作成したPostScriptファイルを「PDF/A-1b:2005(RGB)」で変換すると、オブジェクトはキャリブレーションされたRGBに変換されます。
「PDF/A-1b」への変換は、Distillerで行うより、プリフライトで行なう方が確実です。というのは、プリフライトには[フィックスアップ]という機能があり、「PDF/A準拠」のカテゴリーに含まれるプリフライトプロファイルを指定すると、PDF/Aに準拠した仕様に変換しつつPDF/Aを作成するからです。
プリフライトでは、複数の出力インテントを使い分けてPDF/Aにするプロファイルが用意されていて、それらを利用する方が簡単です。さらに、フィックスアップで変換したレポートが表示されますので、変換内容を知ることもできます。
これからPDF/Aという仕様が普及するかどうかは、なんともいえません。すでに、「PDF/X-2」という次のパージョンの規格化が進められているようです。規格が安定するまで、いましばらく時間がかかりそうです。いずれにしても、Acrobat
8 Proでは、PDF/Aを作成したり、既存のPDFをPDF/Aに変換するのは至って簡単になっています。
この記事はこちらのブログにアップしたもののHTML版です。
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◆『ヘルプとガイドだけではわからない、Acrobat 8 Pro新機能ガイダンス』は上記記事に追加加筆して書籍化されています。書籍版はこちらから。
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