■アウトラインイメージを近づける方法
フォントをアウトライン出力するにはプリント時にプリントダイヤログより[□フォントをダウンロードする]を選択することもできます。これはIllustrator5.5Jに追加された機能です。3.2Jでは環境設定に[□ビットマップフォントで出力する]という項目があり、これをチェックするとビットマップフォント、つまりATMフォントならばアウトラインで出力されました。3.2Jのビットマップフォント出力では文字は太りませんでしたが、5.5Jのビットマップ出力ではアウトラインを作成したのと同じように、文字は「太る」のです。
普通紙プリンタでアウトラインイメージを近づける方法は簡単です。アウトライン化した後で、ペイント設定の線設定を[なし]から[白]にすることです。そして線幅を[0ポイント]に設定します。線設定は正確には背面の色に設定することです。
この方法を使うと、ほとんど文字が太らなくなります。完全に同一とはいきませんが、出力したイメージに大きな差がでません。どちらかというと「細る」感じですが、アウトライン化して「太る」出力と比較すると、文字のウエイトイメージはより正確です。のちにフィルム出力してもクレームの対象となることはかなり少なくなるはずです。
Illustrator5.5Jの[□フォントをダウンロードする]の方法でも、この線設定を[白]、線幅を[0ポイント]を使えば、同じように太らずに出力されます。
この方法の問題点は普通紙プリンタでは解像度が多少劣ることです。このため10ポイント以下の小さな文字は読みづらくなり、汚くなります。
また、線設定を背面イメージに合わせるので、背面がなし(白)の場合や平網の場合はほとんど問題がありませんが、背面がグラデーションや配置イメージの場合は線設定ができません。この場合線設定をたとえば[白]にすると、文字の周りが白くなってしまいます。アウトライン化して太っていた部分が[白]にイメージされるため、白く縁どられてしまうのです。PostScriptのモノクロプリンタの場合は網点によってほとんど誤魔化されてしまいますが、PostScriptのカラープリンタでは色差が明確になる場合は目立つことがあります。背面にグラデーションを設定してある場合は、グラデーションの中間色かもしくはそれよりも少し薄い色を設定すれば、カラープリンタでもあまり目立たなくなるでしょう。
本来線設定が[0ポイント]であれば出力されるはずはないのですが、PostScriptでは出力されてしまうです。皆さんもIllustratorで直線をドローして、塗り設定がベタで線設定がなしであるにもかかわらず、普通紙プリンタでは線が出力されてしまい、そのままフィルムを印画紙で出力すると正しく出力されて線がとんでしまうことを経験されたかと思います。この現象も同じものだと考えられます。高解像度になれば、より正確になるのでこういったあるはずのない設定は出力されません。イメージセッタでも解像度が低ければ、フィルム上に出力されることがありますが、印刷上は無視できる線幅です(刷版時に飛んでしまう程度)。もし気になるようであれば、フィルム出力時にこの設定を戻しておくといいでしょう。 |
●Illustrator5.5Jのプリントダイヤログ |
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※[□フォントをダウンロードする]を選択するとプリンタにフォントを搭載していなくても、ビットマップ出力できる。つまり、スクリーンフォントがアウトラインフォントであれば、アウトラインで出力できる。 |
●ペイント設定を変更する |
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※ペイント設定の線設定を[なし]から[白]もしくは背面の色に、線幅を[0ポイント]に設定する。 |
●アウトライン化の比較
下記のフォントは96ポイントの文字サイズで72ppiで画面表示してある。これを普通紙プリンタ600dpiに換算すると、12分の1のサイズになるので8ポイントの文字の出力をシュミレーションできる。 |
◎アウトライン化しないフォント |
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◎アウトライン化したフォント |
※アウトライン化すると画面表示でも太る。 |
◎アウトライン化して線設定を[白]、線幅を[0ポイント]に設定 |
※アウトライン化して太った部分が白くなる |
◎アウトライン化して線設定を[背面色]、線幅を[0ポイント]に設定 |
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※白く縁どられた部分に背面色を設定するとアウトライン化しないフォントほぼ同じように表示される。画面上ではかなり細くなっているが、プリンタで出力するとプリンタフォントをインストールした場合に近くなる。
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追記:0ポイントの線設定が何故反映されてしまうのかは、PostScriptの描画方式に起因する。これは図形をビットマップ化するときに、まず輪郭線をなぞり、輪郭線に触れるドットを全てオンにしてしまうためである。文字をアウトライン化したとき、輪郭線上のドットを塗りつぶすため、文字が太るが、0ポイントの線設定を指定すると、指定された線設定で輪郭線上のドットが塗りつぶされるからである。つまりその場合は間違いなく細っていることになる。この方法を使うかどうかは、出力した結果を見て判断する方がよい。Illustratorでは7.0以降はフォントをビットマップ化して出力できるようになったので、その方法を使うほうが間違いない。ちなみにフォントのラスタライズ輪郭線上にある全てのドットをオンにするのではなく、内側で面積の広いドットだけをオンにする。Illustratorのラスタライズ機能でも内側だけをオンにしている。(1999/11/24add) |