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第十一講 解像度が足らないときはピクセルを補完する
■補完方法の違いとは
データを入稿したとき、解像度度が全く足りないことがあります。よくある初歩的な間違いで、プレビューデータをそのまま貼り込んでいることがあります。たいていは出力サイズで72ppi程度の解像度しかなく、一般のオフセット印刷の175線で出力すると、ジャギーでてしまいます。
こうした解像度が足らない画像は原則的にスキャンニングし直すべきです。出力解像度にあわせて正しくスキャンニングして、もう一度貼り込み直さなければなりません。
しかし画像が合成されたものだったりすると、高解像度で合成し直すことができないことがあります。ときには合成のソースの画像が十分な解像度を持っていないこともあります。また貼り込まれた画像がテキスチャー的な扱いのもので、必ずしも高品位の出力が必要でないこともあります。そうすると、低解像度のデータをそのままうまく使って、出力用の画像データを作成しなければならないこともあります。
そのまま72ppiや100ppiのピクセル密度のまま出力すると、確実にジャギーが現れるので、ジャギーが現れないようにしなければなりません。ジャギーがでないようにするには、ピクセルを補完して、リサンプルアップするしかありません。
リサンプルアップの方法は、<イメージ>メニューの[画像解像度...]のダイヤログボックスを開き、一番下の[画像の再サンプル]のチェックボックスをチェックします。これで[プリントサイズ]の[解像度]を変更してやると、再サンプルすることができます。再サンプルすると指定した解像度に合わせてピクセルが再構築されます。
画像を再サンプルする方法には三つの方式があります。バイキュービック法とバイリニア法、そしてニヤレストレイバー法です。この中でもっともピクセルの補完に優れているのが、バイキュービック法です。次にバイリニア法で、最後にニアレストレイバー法となります。ただし補完の演算に時間がかかるため、バイキュービック法はもっとも再サンプルに時間がかかります。
もっとも再サンプルに時間のかからないニアレストレイバー法は、解像度は高くなりますが、実質的にはピクセルを再構築していません。再サンプルの大きさに合わせてピクセルをそのまま拡大縮小します。そして必要なところのみピクセルを補完します。ニアレストレイバー法ピクセルのそのまま大きくしたいような場合以外は使えないので、一般の画像データの再サンプルには使えません。
バイキュービック法とバイリニア法は隣り合うピクセルのデータ値をもとに、新たにピクセルを再構築するものです。両者とも階調がなめらかになるように、中間調ピクセルを作成しますが、バイキュービック法とバイリニア法の違うところは、バイキュービック法は補完時にある程度エッジを強調するようになっていることです。つまり再サンプルしたときにエッジが強調されて画像にメリハリがついているのです。
ですから、画像を再サンプルして解像度を上げるには、バイキュービック法を使用しなければなりません。Photoshop4.0Jでは[画像解像度...]のダイヤログボックスで補完方式を選択できるようになっていますが、Photoshop3.0Jでは<ファイル>メニューの[環境設定―一般]であらかじめ、補完方式を選択しておく必要があります。
●[画像の再サンプル]で補完する
※[画像の再サンプル]をチェックして、バイキュービック法を選択します。
●グラデーションの円をPhotoshopで読み込む
◎100ppiで読み込んだ画像
◎200ppiで読み込んだ画像
※Illustratorで作成した5mmの大きさのグラデーションをPhotoshopで読み込む。100ppiで読み込んだときと200ppiで読み込んだときの違い。
●[画像解像度...]で補完する
◎バイキュービック法で補完
◎さらにアンシャープマスク
◎バイリニア法で補完
◎さらにアンシャープマスク
◎ニアレストレイバー法
※バイキュービック法はなめらかに補完したうえ、アンシャープマスクがかかってエッジが強調されています。バイリニア法にはアンシャープマスクはかかっていません。ニアレストレイバー法はそのまま拡大しただけで、ピクセルは増えても階調を補完していません。
画像の解像度を上げるには、バイキュービック法で再サンプルを行い、さらにアンシャープマスクをかける方が、より原画に近づきます。
■解像度はどのくらいまで補完できるか
画像の解像度の補完方式にバイキュービック法を使うとして、どのくらいまで解像度を上げればいいのかという問題があります。フィルム出力を175線で行うとすると、一般350ppiが必要ですが、再サンプルされた画像にはディテール情報がありませんから、解像度を高くしてもあまり意味はありません。
さてどのくらい解像度を高くすればいいのかというと、要するにジャギーが目立たないようにしてやればいいわけです。ジャギーが目立たない解像度がどのくらいかというと、だいたい200ppiから250ppi程度です。そのくらいあればジャギーはほとんど目立ちません。それ以上解像度を上げても、もともとぼけた画像しかないので、失われたディテールは再現されないからです。
RIPで網点を生成するとき、350ppiの画像で175線の線数でフィルム出力するとき、四つのピクセルでひとつの網点を生成します。カラーの場合は、CMYKで四種類の網点ができるわけです。しかし網点を生成するピクセルが平網のように均一したものであれば、ハーフトーンセルにあわせた大きさのドットが生成されるのですが、元となるピクセルの数値が違っていれば、生成されるハーフトーンセルは完全に生成されません。データが二倍あるとハーフトーンセルは半分だけ生成されて、つまり半分欠けたままで次のピクセルのデータに基づいて新しくハーフトーンセルを生成していくのです。データが四倍の場合は四分の一の大きさでハーフトーンセルが作られるのです。
このため、出力線数が同じでも画像の解像度が高いと、ハーフトーンセルが欠けたままの小さいサイズで生成されるので、ディテールは表現されることになるのです。だから低い線数で出力するときには、ある程度解像度を高くしてやるほうがいいのです。
一般に人間の目は1mmあたり10本以上の線しか認識できないといわれています。つまり1インチで250本ですから250ppi程度までのディテールは判別がつくのです。ですから100線程度で出力する場合でも、画像の解像度200ppiより250ppiの方がよりディテールを再現できるのです。
画像を補完するときに、もうひとつと気を付けなければならないのが、変倍の比率です。ピクセルの補完をよりなめらかするためには、整数倍で変倍を行うベきです。整数倍で行わないと再構築されたピクセルがいびつになってしまいます。バイキュービック法であっても画像の再現性を考慮するとき、整数倍での変倍を行いましょう。
72ppiの画像のピクセル補完では、三倍の216ppi程度、100ppiの画像の補完では二倍の200ppi程度が妥当な再サンプル解像度でしょう。
また再サンプルして補完した画像にはもう一度、<フィルタ>メニューで[シャープ―アンシャープマスク]をかけた方が、より画像が引き締まります。バイキュービック法では補完したあとアンシャープマスクをかけてありますが、もう少しエッジを強調させるほうがより原画に近づくようです。
●足らない解像度を補完する手順
●[アンシャープマスク]のダイヤログ
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