▼ CONTENTS
・
はじめにお読み下さい
・
プロフィール
・
ブロードキャスト
・
Gordian Knot
(ペーパーマガジン)
・
ウィークリーマガジン
(メールマガジン)
・
デジタル ビヘイビア
(月刊PDFマガジン)
・
上高地仁の本
・
ダウンロード
・
リンク集
・
広告募集
・
DTP-S倶楽部
▼ DTP実務者のためのAcrobat PDF活用ガイド
■
『DTP実務者のためのAcrobat PDF活用ガイド』について
■
目次
■
『DTP実務者のためのAcrobat PDF活用ガイド』までの道
■コストダウンがPDFを呼ぶ
DTP実務者のためのAcrobat PDF活用ガイド
上高地仁 著
定価:2,940円(内税:140円)
B5変型判・304ページ
ISBN4-8399-0698-X
毎日コミュニケーションズ 刊
[「DTP実務者のためのAcrobat PDF活用ガイド」のお申込みはこちら]
▼コストダウンがPDFを呼ぶ
■ネイティブファイルでも可能なデバイス・インディペンデント
ここのところずっとですが、PDFをテーマにしています。デバイス・インディペンデントなフォーマットというとPDFしかないわけです。他に選択肢があれば、それはそれで面白いのですが、現在はAdobeの作ったPDFだけですね。
本当はアプリケーションのネイティブファイルでも、デバイス・インディペンデントにできないわけではないと私は思うんですが、いまは無理みたいですね。フォントも画像もすべてネイティブファイルに埋め込んでしまえば、別の環境でも完全に同じレイアウトを維持してむ開くようにはできるはずですね。技術的にはやってやれないことはないでしょう。
画像はともかくフォントさえ、認識できればいいわけです。そのフォントのない環境で開いても、そのフォントを認識し、編集できればいいわけです。
たとえばWindowsで作成したIllustratorのデータをフォントを含んだファイル形式にして、MacintoshのIllustratorで開いたとき、そのフォントファイルを丸ごとIllustratorのデータ内部に持たせておけば、MacintoshでもWindowsフォントの認識して編集することはできると思いませんか。私なんかは、「そのためのCoolTypeじゃないのか」と思っていたりしてますけどね。OpenTypeになると、ますます可能性は互換性は高くなると思いますね。
PDFはレイアウトを閲覧して印刷する場合には、たいへん有効なファイルフォーマットですが、PDFとして編集するのはまだまだこれからです。というより、PDFの編集というのはPDFの本来の目的とは違うので、ネイティブアプリケーションと同じように編集するのは難しいかもしれません。
使用したフォントをファイルに含めておき、CoolTypeで利用できるようにして、仮想的にメモリ空間に設けたCoolTypeエリアに放り込んでおけばいいわけです。欧文フォントがプリント時にRAMに書き込まれて、あたかもプリンタフォント同じように扱われるのと同じことを、アプリケーションが持っているのメモリ内部で行えばいいだけです。その分、ファイルサイズが大きくなったり、アプリケーションに割り当てるメモリサイズが大きくなりますが、いまのように大容量のハードディスクやメモリを使うのであれば、全然問題ないと私は思っています。
■PDFは儲かるのか
それは、またもう少し先の話だと思いますが、いまのところデバイス・インディペンデントがレイアウトファイルフォーマットといえば、PDFしかないわけです。ですから、PDFをどのように使うのか、どうすれば有効な使い方があるのかということを考えています。
ただ、多く人の関心は、PDFを使うことのではなく、「PDFにすると、どんなメリットがあるのか」ということだと思います。“メリット”なんて遠回しの言い方をしても仕方がありませんので、ずばりいいましょう。
「PDFにすると儲かるのか」
ということです。直裁ですが、儲かるかどうかが、PDFの普及を決めると私は思っています。
DTPでは、PostScriptファイルからPDFに変更したら利益がでるのか、ということです。もっというとQuarkXPress 3.3Jを捨てるだけの価値はあるのか、ということです。
現実にはですね、PDFがいくら優れていても、それと普及するかどうかは、あまり関係ないと思うわけです。ものが良ければ普及するわけではありません。いいものでも世の中に認められることなく埋もれていくものは少なくありません。
もっともDTPでPDFを使い出力する場合の、新しいマーケットを作るわけではなく、いままでのものにリプレースしていくことになります。リプレースしようとするPDFの対戦相手は、QuarkXPress 3.3Jから書き出されたPostScriptファイルです。
この対戦相手はすこしばかり古い技術ですがも完成されたものを持っています。Apple流にいうなら“枯れた”技術です。つまり出力という点では、酸いも甘いも知り尽くしたフォーマットなんですね。
もちろん古くて完成されていても、機能という点では、劣っています。これは仕方がないでしょう。とはいっても、DTPが発展するときに、もっとも安定していてユーザーの信頼を勝ち得た古強者ですから、まだまだ支持者は少なくありません。
■正しいPDFを作成すればコストダウンできる
もともとDTPが日本で広がったのは、新しかったとか面白かったとかいう要素は大いにありますが、同時にコストダウンできたという点も否定できないと思うわけです。つまり写植を内製化することで、大きなコストダウンできたということが、DTPを普及させたもっとも大きな原因ではないかと私は考えています。
ですから、逆にいうと、PDF化することでコストダウンが図れるのであれば、QuarkXPress 3.3JからPostScriptファイルを書き出して出力する代わりに、PDFを作成して出力するようになっていくでしょう。
それでは実際にPDF化すると、コストダウンのメリットかあるのかないのかといえば、これは間違いなくあります。DTPで出力するためのファイルをPDF化すれば、確実にコストダウンはできます。
ただしPostScriptファイルの代わりにPDFで出力するだけでは大きなコストダウンはできないかもしれません。いやいや、PDFにすれば、出力ファイルのチェック工程は大幅に少なくなります。出力フォントが揃っているかとか、リンク画像は添付されているかとか調べる必要はほとんどありませんから、プリフライトはほとんど不要なくらいラクになります。これでですね、制作者側も出力側も負担が減ります。
ほんとはね、こういう部分にかかっているコストって馬鹿にならないんですが、けっこう目に見えないんですね。PDFで出力すると、あまり手間をかけずに作成したデータを確実に出力できることになります。
もちろん問題は正しいPDFが作成できるのかという点があります。いままでのレイアウトソフトであれば、正しい出力のための方法はすでに身に付いていると思いますが、PDFの作成では、さらにPDFについての知識が必要になります。『DTP実務者のためのAcrobat PDF活用ガイド』というのは、そのあたりをフォローしたいと思って書いています。
ただ実際には、現在レイアウトソフトで正しいデータを作成できているのであれば、そんなに難しくはないはずですね。基本的にはPostScriptファイルでの出力の応用ですから。
■CTPの出力はPDFがもっともお似合い
印刷でコストダウンするには、いまはCTPが最右翼です。たしかにCTPは安いですね。ですが、CTPで安さを追求するには、PDFがもっとも的確なファイルフォーマットです。
PDFにすれば、出力に関わる多くのトラブルを解消できるだけでなく、CTP出力の時間を短縮できます。また、ページ数の多いものでも、ネットワークで簡単に送ることができます。それと、作成したOSの環境が異なってもフォントを埋め込んでいれば出力可能です。フォントをTouchUpしない限り、フォントの出力は行えるわけです。
それから、PDF化すれば、作成元がどのようなものであれ、モニタでカラーマッチングできますから、本当に色校正は不要になります。もちろんモニタのカラーマネージメントが行われていることが前提ですが、モニタでもかなり印刷に近いカラーを再現できます。またデバイスプロファイルがあれば、プリンタでもカラーマッチングできます。
いままであれば、カラーの印刷物は、色校正をして、フィルムを出して、印刷していましたが、PDFでCTPすれば、カラープリンタで出力して、CTPで印刷するだけですね。PDFでなくても同じことはできますが、出力の安定性や安全性を考えると間違いなくPDFにメリットがあります。
印刷会社でも最近はDDCPもイメージセッタもCTPも、One RIPで行なうようになっていますが、それはRIPが変わると、結果が変わってしまう可能性を否定できないからですね。
でもね、PDFはある程度リッピリングされたデータですから、最終のRIPが変わっても、結果が変わる可能性はまずないといえます。もちろん、私が保証するわけではありませが、理論的にはそうなりますね。
ですから、本当に色校正の工程をジャンプするには、PDFにしてAcrobatからカラープリンタ出力するのが確実であると言えると思うわけです。
■PDF入稿は“適齢期”にさしかかっているのだ
というようなわけで、本当にコストダウンするためは、出力ファイルにPDFを選択していくしかないようになっていくんではないのかと思うわけです。
もちろん一斉にすべての出力サイドがPDFで出力するわけではないと思います。同じ年に生まれて同じように学校を卒業しても、結婚するする年は人によって違うわけです。だから、印刷会社でも出力センターでも、PDFを扱うようになるのは、会社によって“時期”があります。
ただそうはいつても、結婚は適齢期というものがありますから、ある時期にはたいていの人は結婚するわけです。PDFも、積極的に取り入れる会社もあれば、まだまだ利用しない会社もあるでしょうけど、私の目からみると、そろそろPDF導入の“適齢期”ではないかと思うわけです。
印刷業界も、印刷に関しては、コストダウンの風はさらに強くなりそうで、利益を上げていくには、さらなるコストダウンを図るしかないと私は思っています。利益を上げるには、人より少し先にコストダウンを図ること必要です。
ですから、カラープリンタで色校正し、PDF入稿し、CTPで印刷するようになるが当たり前になるのはけっこう早いのではないかと思うわけです。
■
『DTP実務者のためのAcrobat PDF活用ガイド』について
■
目次
■
『DTP実務者のためのAcrobat PDF活用ガイド』までの道
■コストダウンがPDFを呼ぶ