Adobe Illustrator(イラストレーター) 使い方と出力講座:透明効果からPDF保存、Illustrator CS3まで
Adobe Illustrator使い方と出力講座:透明効果からPDF保存、Illustrator CSまで

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▼序章 DTPとデジタル営業



■0-1 ふたつのDTP

 「DTP元年」が一体何時なのか、現在のところ判断できません。もう数年経てば、あの時がDTP元年であったと、誰もが感得することになるかも知れません。しかしめざましく技術が進歩していく中、何をもってターニングポイントであったとすべきか知る術はないでしょう。PostScriptが開発されたときなのか、LaserWriterが発売されたときなのか諸説ありますが、現在進行形といったところです。

 印刷業界ではDTPは次世代のネクストコンセプトとして定着しつつあります。業界の誰しもが、印刷はデジタル化されると確信しているようです。しかし思い起こせばたった二〜三年ほど前までは、デジタル化には懐疑的な見方が多くありました。デジタルよりもアナログ(従来の手法―写植で版下を作成し、フィルムをレタッチして集版する方法)の方が高品質であるとか、効率的であるとかといった意見があちらこちらで見受けられました。デジタルでもCEPSならば○だけど、Macintoshであれば×といった意見もあったようです。実際二〜三年前まではその意見の通りの場合もありました。

 しかしいまではそういった主張は影をひそめました。この二〜三年ほどの間にハードウェアは飛躍的に高性能となり、アプリケーションは商業印刷物の品質に十二分に対応するだけの機能を有するようになりました。いまではデジタル懐疑論者の多くは宗旨替えをしたようです。Macintoshでのデータ作成が日常と化しつつある現在、CEPSもイメージセッタよりも少し高度な出力機になりつつあり、価格ほどのコストパフォーマンスを発揮できていないようです。MacintoshをフロントエンドとするDTPは、確実にその地場を固めています。

 DTPはもともとDesk Top Publisingの略称で、Aldusの社長であったポール・ブレナードが、PageMakerの販売に際に提唱したといわれています。直訳すると「机上出版」ということになります。本来はパーソナルコンピュータを使って、Desk Topで出版物を作成することを指しています。PageMakerを使えば机の上だけで出版物が作成できますよと、ポール・ブレナードはいいたかったのです。実際PageMakerやQuarkXPressなどのページレイアウトソフトを使えば、モノクロの書籍などは簡単に作ることができます。

 たとえば山根一眞の「マルチメディア版 情報の仕事術」という本は、QuarkXpressで作成され、それを400dpiのPostScriptプリンタで出力したものをそのまま版下に使って出版されています。400dpiでも書籍としては十分な品質と判断したわけです。しかも脱稿してから出版にいたるまで通常三ヵ月程度必要とするものが、何と二週間ほどに短縮されています。これこそがDTPの真骨頂でしょう。

 本来の意味でいけばDTPは、制作までの部分についてはユーザーが専門家の手を借りなくても出版できるという意味になれます。そうすると版下・製版という分野では、印刷会社の出番は少なくなってしまいます。DTPにはその品質で分類してローエンド、ミッドレンジ、ハイエンドと分類されることがあります。ローエンドやミッドレンジはパーソナルコンピュータで作成したものをPostScriptプリンタなどで出力し、コピーしたり、印刷したりするものを指しますが、ハイエンドと呼ばれるカラーの印刷物はイメージセッタで出力して簡単に印刷するというわけにはいきません。カラーの印刷物にはまだまだ専門的な知識と技術が要求されます。従って印刷会社の役割はデジタルで高品質な印刷物に対応することになります。


●Desk Top PublisingとDesk Top Prepress



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