■02■ Illustratorの鉄則02:最新版にアップデートしよう 8.0〜9.0
Illustratorのアップデートは必要でしょうか。特にIllustrator 9.0は9.0.2にアップデートすることが必須です。EPSでQuarkXPressに貼り込んで出力すると、低い平滑度が反映されてしまうことがあります。アップデートで最新版にしておきましょう。
あなた:異なるバージョンで開かないこと以外に、基本的にチェックしておくべきことはどのようなことでしょうか?
マスターヨーダ:それは、最新版を使うことじゃ。当然のことではあるがな。インストールしたままのバージョンは使わないほうがよい。Adobeのサイトから最新版をダウンロードしておきたいものじゃ。
Illustratorの最新バージョンは次のようになっておる。主な変更点も合わせてリストに追加しておこう。
●Illustrator 8.0 → 8.0.1
Acrobat 4.0との互換性が向上
●Illustrator 9.0 → 9.0.2
平滑度が低くなる現象が解消
●Illustrator 10.0 → 10.0.3
Photoshop 7との互換性
●Illustrator CS → 11.0.1
文字組み関係の問題が解消
以前のバージョンファイルでEPS,AIのリンク位置の変更が解消
●Illustrator CS2 → 12.0.1
PDFMediaBoxの計算が変更
日本語版のダウンロードサイトはこちらじゃ。
◆Macintosh版
http://www.adobe.com/jp/support/downloads/ilmac.html
◆Windows版
http://www.adobe.com/jp/support/downloads/ilwin.html
あなた:8.0.1では「Acrobat 4.0との互換性が向上」とありますが、どういう意味でしょうか。
マスターヨーダ:Illustrator 8.0がリリースされたときは、Acrobat 4.0はリリースされていなかったんじゃな。PDF保存時のオプションには[互換性]で「Acrobat 4.0」があったんじゃが、Acrobat 4.0は存在せんかった。それで、Acrobat 4.0がリリースされてから、アップデートしたのが、8.0.1というわけじゃ。
あとは、8.0.1で「カラーの 1 ビット TIFF が正しくオーバープリントされるように設定できるようになった」という改善もされておる。また、8.0.1から、ダイレクト選択ツールをダブルクリックしてオブジェクトが移動できるようになっておる。
また、ダウンバージョンでの問題も改善されているようじゃ。7.0互換で保存し8.0で開くと表示レイヤーがプリントできなかったり、5.5互換でEPS保存するとQuarkXPressからPostScriptエラーで出力できないというトラブルにも対応しておるぞ。
あなた:なるほど、そりゃ、8.0.1へのアップデートは必須ですね。ダイレクト選択ツールのダブルクリックでの移動コマンドは、8.0.1からだったんですね。
それでは、9.0の「平滑度が低くなる現象が解消」というのはどういうことですか?
マスターヨーダ:9.0.1では、印刷関係の問題として次のようなものが解決されておる。
●ウインドウのタイトルバーのみの状態で保存されたIllustrator書類を再び開く際、エラーメッセージが表示され開けなくなる問題
●グループオブジェクトを含む複合パスがAcrobatでは正しく表示されない問題
●Macintoshでファイルを開くときのメモリ不足に関するエラーが解消
などじゃ。これだけでも、アップデートは必須じゃろう。
あなた:それはわかりました。それで「平滑度が低くなる現象が解消」というのは、アップデートの書類には書かれていないようですが、どういう意味です?
マスターヨーダ:この問題は、アップデートを説明するテキストファイルには記載されておらん。8.0で新規書類を作成すると、書類設定の出力解像度で低くなる現象があったのじゃ。Illustratorの出力解像度のデフォルト値は知っておるか?
あなた:出力解像度ですか? えーと、たしか「800 dpi」だったと思いますが。出力解像度ってなんなんですか。それと平滑度ってどういう関係があるんですか?
*Illustrator 9.0の書類設定から[プリント・データ書きだし]を選択すると、出力解像度が設定できます。デフォルトは「800 dpi」です。
マスターヨーダ:印刷関係者では必須の設定じゃな。出力解像度はのう、PostScriptの線の解像度なんじゃ。
あなた:線の解像度ってなんなんですか?
マスターヨーダ:PostScriptというのは、実はな、曲線を印刷できんのじゃ。知っておったか? 出力するときは、直線だけを描画するんじゃ。
あなた:えー、ベジェ曲線、というじゃないですか。あれはPostScriptじゃないんですか。
マスターヨーダ:いやいや、PostScriptオペレータでは曲線は記述できるぞ。描画命令としては、もちろん曲線は表現できるに決まっておる。曲線の描画命令を実際にプリンタに出力するじゃろ。そのとき、その曲線は小さい直線で構成されるのじゃ。つまりじゃ、どのような曲線も短い直線をつなぎ合わせて曲線にみせるというわけじゃな。
あなた:短い直線ですか...
マスターヨーダ:その通りじゃ。人間の目で認識できない直線であれば、曲線として見えるじゃろう。その直線の解像度が出力解像度というわけじゃ。デフォルトの「800 dpi」というのは、1インチの800分の1の直線ということじゃな。
平滑度というのは、この実際の出力機の解像度を出力解像度で割ったものじゃ。
平滑度=出力機の解像度÷Illustratorの出力解像度
ということになる。「2,400 dpi」の出力機を使うと、出力解像度「800 dpi」の場合は、平滑度は「3」ということになる。つまり、3ドットの直線で曲線が作られるというわけじゃな。
あなた:3ドットの直線で曲線を描画するんですか。それって、大丈夫なんですか?
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