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▼ 標準 DTP出力講座



1.「標準 DTP出力講座」を出版するぞ!


 とうとうやりました。
 本を出すことになったのです。もちろんDTPをテーマにした書籍で、今月の下旬に出版されます。
 出版社は翔泳社さん。本の背に「SE」と書かれたところから発行発売されます。
 タイトルは「標準 DTP出力講座」。出力をメインテーマにした本で、DTP-Sに書かれていることをベースに、出力に関することをさまざまな角度から取り上げました。
 何とこの本はDTP出力の「標準」なのです。私が書いた本がDTPの出力のスタンダードになるわけです。な〜んてことはないか?。以前「みだれ撃ち読書ノート」で触れた「QuarkXPressによる標準DTP入門講座 応用編」のシリーズの1冊なので、「標準」となっています。
 だいたい執筆の依頼を受けたときには、「DTP出力講座」という仮題は貰っていたけど、「標準」とは聞いていなかったもんな。下版間際に目次を作成していたら、タイトルが「標準 DTP出力講座」となっていて、「あ、そ〜か、この本はDTPの出力の標準になるねんな」とはじめて気が付いた様な次第。
 原稿を書いているときは、「標準」にしようとか、全く意識していなかったけど、できあがってみると、難しい理屈の話もあれば、ノウハウやTipsも満載されているし、「標準」に相応しいできになっているぞ、と思った。DTP-Sで得るものがあったという人にとっては、本として読むことができるということだけでも、たいへん有難い内容であろう。
 内容を簡単に紹介しておこう。
 第一部と第二部の二つにわかれていて、第一部は「フィルム出力の基礎知識」で、第二部は「アドバンスド・データ・メイキング」。
 第一部の「フィルム出力の基礎知識」では、まず出力依頼書の書き方について、徹底して講義した。出力依頼書の各々の項目がどのような意味をもっているのか、なぜ出力時に記入が必要なのかを、余さず解説した(はずである)。これを読みこなせば、出力依頼書の書き方をマスターできるんである。
 次の章は、「PostScript解体新書」なるタイトルで、PostScriptの仕組みをわかりやすく解剖した。もちろん仕組みだけでなく、PostScriptのメリット・デメリット、問題点なども書いた。
 第一部最後の章は、「出力機を使いこなそう」という、出力機のというハードウェア、ソフトウェアの違いについて詳説したものである。フィルムで出力するというのは、実はPostScriptだけでは完結していない部分があって、出力機のメーカーが独自の技術でPostScriptの十分でないところやPostScriptにない機能を補っている。そのあたりを中心に記述してある。このあたりは理屈の部分だか、出力機の特質を知るということが、出力を依頼する人にとっても、出力機をオペレーティングする人にとっても、価値あるものであろう。またこれからDTPエキスパートになりたいという人にとっても、ガイドにもなるに違いないと思って書いた。
 第二部はデータ・メインキングについてで、最初の章は画像について、その次はレイアウトソフトについて、最後の第6章はMacintoshのシステム環境について、である。
 これらはDTP-SでおなじみのTips的なものが多く、そういったものの集大成になっている。「スモールオフィスのためのDTPセミナー」や「DTPのためのQ&Aのコーナー」の内容が反映されている。
 最後に付録として、Illustrator7.0Jの出力についての補足事項を書き加えた。
 こんなにもりだくさんになっているので、何と全304ページもある。全ページ二色使いで、画像についてのページはカラーになっている。値段は最終的に3,200円。安い!、でしょ。
 DTP-Sをブラウザで見たあと、ダウンロードしてプリントアウトしているあなた。是が非でもこれを買わない手はないぞ。是非買ってやってください。発売は今月の下旬、全国の書店に並ぶ予定です。

 正直言って、本当に嬉しい。「Adobe Illustratorお茶の子サイサイ」を書いたときは、これを何とか本にしたいと思って書いていた。書き上がって、何とか出版社へのルートも見つかり、出版されると喜んでいたら、先方の都合で流れてしまい、結局ヌカ喜びになってしまった。
 おかげで、「Adobe Illustratorお茶の子サイサイ」はWebに登場した。もちろん本音は、「Adobe Illustratorお茶の子サイサイ」を出版してくれるところが現れないだろうということ。ほのかな期待を胸にいだきつつ、アップロードしたのだった。
 最初の出版社が駄目になったとき、「Adobe Illustratorお茶の子サイサイ」を持って出版社回りをするという選択肢もあったが、大阪にいる身としては、やっぱり面倒だし、空振りに終わったら、どうしようという不安はぬぐい去ることはできない。出版社といってもたくさんあるし、そういうことに関心のある編集者に巡り合える可能性は、「人間に羽根が生えて空を飛ぶくらい低いもんな」と思うと、リスクが大きいのだ。ここはインターネットという面白いものも出来たし、これを使って徳川家康になったつもりで、「気長に待ってやろうやないか」と決めたのである。
 待つこと約7ヵ月で、「執筆の依頼」というメールがやってきた。「Adobe Illustratorお茶の子サイサイ」を出版したいという思惑からは少し外れてしまったが、「DTPの出力」をテーマに本を書いて欲しいと、そのメールに書かれていたときには、身体中をアドレナリンが舞い上がっているのを感じた。
 「Adobe Illustratorお茶の子サイサイ」を書こうと思い立ったのが、1995年の2月頃だから、苦節約2年半(なんだ、たいしたことないか)で、もの書きになった。もの書きになれた。一所懸命すれば、いつかは報われると思っていたことが、ちゃんと結果となったのである。
 もの書きという意味では、今年の6月からJAGATの「プリンターズ・サークル」に印刷営業をテーマに連載をいただいたし、今月のProfessional-DTP誌にも原稿を書かせていただいたし、その次からは、1ページだが連載することになった。
 そういう意味では、ライターと自称してもいいのだが、やはり単行本があるのないのとでは、やはり重さが違うと感じてしまう。
 あれもこれも全てインターネットのおかげである。個人だって、内容の充実したホームページを作成すれば、ちゃんと誰かが見てくれるのだ。
 特に出版というのは、見ず知らずの人に執筆を依頼するというのは、ほとんどないだろう。そりゃ、相手が有名人で、売れるのが読めるのであれば、依頼することはあるだろうけど、たとえテーマが決まっていたとしても、会ったこともない人間にいきなり「執筆の依頼」をするということは、勇気のいることだ。依頼するのなら、しかるべき人に紹介してもらって、一度会って「値踏み?」をしたあとで、依頼するのが、一般的であろう。
 そう考えると、「世の中かわってきたのかもしれへんなあ」と思う。きっとこれからは、こういうことが増えてくるのだろう。
 「標準 DTP出力講座」にまえがきに、「この本はインターネットで依頼を受けたはじめての本かもしれない」と書いた。すでにライターである人が、ホームページを開設し、今までに雑誌などに掲載した原稿を乗せているということはよくあるものの、その逆はいままでなかったと思う。ひょっとしたら、今までも、そういう依頼を受けて本が作られたことがあるかも知れないが私は知らない。たとえ他にあったとしても、この本が嚆矢であることには違いない(とひとりで決め込んでいる)。
 というわけで、これから出版されるまでの間、「標準 DTP出力講座」ができあがるまでの話を書いていくつもりです。



このコンテンツは1997年9月3日に書かれたものです。


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