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■ITブームに踊らされていませんか
印刷業界も、昨今はITブームに踊らされていますな。印刷会社にとってのITとはなんだろうと考えてみても、明確な回答は得られませんが、まあ、簡単に言うと、インターネットを使った新しいビジネスモデルを作り上げることでしょうか。ビジネスモデルなんていうより、「儲け話」といったほうがわかりやすいですな。インターネットででなくとも、クローズドのネットワークでもいいんですけどね。
といいつつ、私も実は印刷会社さん相手にセミナーをするときは、「ITやらなきゃ駄目よ」みたいな話はしますけどね。やっぱりね、オープンなネットワークで私たちの生活が変わっていこうとしているわけですから、そこに新しいビジネスチャンスがあるのもまた確か。印刷業も情報産業の一翼を担っているわけですから、関心を持つのは当然ですな。
ただまあ、世間でいわれていることを鵜呑みにしてはいけませんよね。IT企業と目されるところでも、ぜんぜん芽の出ないところもあれば、衰退していくところもあります。もちろん、大儲けしているところもあるでしょうけど、それだっていつまで続くか誰にもわかりませんよ。当たり前ですけどね、ITをやればいいってわけじゃないわけです。
「ウチはASPの事業をするんだ」と印刷会社の社長がいくら息巻いても、ASPやったら儲かるわけじゃないですよね。そりゃ、対外的にはウケはいいでしょうけど、それだけの話で終わってしまう可能性の方が高いんじゃないですかね。ASPっていったって、競合がひしめいているわけで、印刷業の片手間ではできませんからね。
印刷会社もね、いちからITで勝負するんじゃなくてね、印刷業に関連したところで、ITの面白いところ役に立つところを取り込んでいって、自分なりに咀嚼して利用することが必要だと私は思いますね。新しい酒もね、新しい革袋に入れるだけじゃなく、古い革袋にいれて少しもんでやったほうが、味が馴染んで旨味しくなることもあるぞなんて私は思いますけどね。
私はね、印刷会社がITに関わるんだったら、Eコマースでインターネットでのプロモーションのお手伝いをするほうがいいように思いますが、他にもいろんな取り組みがあるでしょう。派手に取り組むより、地道に取り組んだほうがいいように思います。ブームに踊らされずに、自社にある資源を活用する方法としてITを利用するというスタンスが必要でしょうけどね。
もっとも、DTPだって広い意味ではITの一つと言えなくはないわけですけどね。
もちろん、そんなことで営業の達人にはなれませんけどね。
[下記のトピックに続く]
■ISOにお株を奪われたかんばん方式
■トヨタは車を作っているだけで本当にいいのか
■ノウハウや考え方もマルチユースできる |
工学社/Professional-DTP誌 2001年4月号所収
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