Photoshopとカラーマネージメントの仕組みと出力講座:印刷用のCMYK変換からDTPファイルの保存
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 「カラーマネージメントは難しい」と思っていませんか? 専門用語が飛び交い、成果もわかりにくいと思っていませんか。確かに「カラーマネージメントしなくても、DTPはできる」かもしれません。

 とはいえ、カラーマネージメントは「常識」になりつつあります。カラーマネージメントがわからないと、CMYK変換もできないようになります。オフセットでも枚葉印刷するときと輪転機で印刷する場合では、CMYK変換のプロファイルも異なります。

 ここでは、難解に見えるカラーマネージメントを、できるだけ「やさしく、わかりやすく」解説します。




▼第2章 Adobe Color Engine入門ガイド



■2-6 プロファイルの埋め込みとカラーマネージメントポリシー 1

●カラーモード毎の処理方法と埋め込みプロファイル処理


 カラーマネージメントポリシーという言葉は、はっきり言ってよく意味のわからない言葉ですが、ドキュメントにICCプロファイルが埋め込まれているとき、そのドキュメントをどのように開くのかということです。カラーマネージメントする方法をこここで設定しなさいという意味です。

 カラーマネージメントするポイントは、画像データであっても、レイアウトソフトのドキュメントであっても、カラーマネージメントの視点から言うと、ICCプロファイルの埋め込まれたファイルと、埋め込まれてないファイルの二種類しかありません。

 カラーマネージメントポリシーには、RGB・CMYK・グレーの各カラーモードを処理する方法を設定する部分と、プロファイルの処理を個別にアラートウィンドウで行うのかを決める設定があります。

 各カラーモードの変換では、ドキュメントにプロファイルが埋め込まれているときに、処理する方法を指定します。埋め込みプロファイルを無視するのか、カラー設定を無視して埋め込みプロファイルに従うのか、作業用スペースに変換してカラーマネージメントするのかを決めます。RGB・CMYK・グレーで別々に設定することも可能です。

 プロファイルの処理を、アラートウィンドウで確認するのが、下部にある3つのチェックボックスです。埋め込まれたプロファイルと作業用スペースが異なる場合にアラートウィンドウを出現させて確認する[プロファイルの不一致]と、埋め込みプロファイルがないときにアラートする[埋め込みプロファイルなし]のチェックボックスです。ここでは「開く時に確認」してアラートウィンドウを表示するかどうかを決めます。

 [プロファイルの不一致]にある「ペーストするときに確認」は、異なる作業スペースを割り当てているドキュメントを開き、一方のオブジェクトをコピーして、もう一方にペーストするときの確認するかどうかを決めるものです。ここでは、デバイスカラー値を維持するか、Lab値を優先するかを指定するようになっています。


●埋め込まれていないドキュメントの処理

 まず、わかりやすい方はICCプロファイルが埋め込まれてないドキュメントです。ICCプロファイルが埋め込まれていないドキュメントは、RGBやCMYKのデバイスカラーでのみで記述されるカラーです。Adobe Color Engineを使うとき、この機能をオフにしない限り、カラーにはICCプロファイルはーが割り当てられます。

 ということは、ICCプロファイルを埋め込まれていないドキュメントを開くと、
そのときカラー設定で指定されたカラーを割り当てるしかありません。そのときに、「埋め込まれていない」というアラートを出すのか、出さないのかを決めるのが、「埋め込みプロファイルなし」の「開く時に確認」のチェックボックスです。

 「日本 - Japan Color」では、「埋め込みプロファイルなし」の「開く時に確認」にチェックがされています。ですから、ICCプロファイルが埋め込まれていない画像をPhotoshopで開くと、[プロファイルなし]というウィンドウが開きます。

 このときの選択肢は3つです。

そのままにする(カラーマネージメントなし)
作業用CMYK(あるいはRGB、グレースケール)を指定
プロファイルを指定


です。それでは、この3つはどのように違うのでしょうか。

 「そのままにする(カラーマネージメントなし)」は、ICCプロファイルを指定しない方法です。しかし、カラー設定を使う限り、アプリケーションはLab値でカラーを認識することになります。したがって、そのときカラー設定で指定されているカラーを暫定的に割り当ててモニタに表示します。ただし、カラー設定の作業用スペースを変更すると、モニタ表示色も変わります。

 「作業用CMYKを指定」は、そのときカラー設定で割り当てられている作業用スペースを指定します。「指定する」というのは、開かれているドキュメントにICCプロファイルを暫定的に埋め込むわけです。これを選択すると、後からカラー設定を変更しても、暫定的に埋め込まれてい作業用スペースはそのままになります。

 「プロファイルを指定」した場合は、作業用スペース以外のICCプロファイルを暫定的に埋め込むという処理を行います。これは、作業用スペースで割り当てられてないICCプロファイルをドキュメントに埋め込みたい場合に利用します。しかし、もし決まっている作業用スペースがあるのであれば、先にカラー設定を指定して「作業用CMYK(もしくはRGB)」を選択した方がいいでしょう。

 なお、「作業用CMYKを指定」や「プロファイルを指定」してドキュメントを保存すると、デフォルトでICCプロファイルの埋め込みがオンになります。「そのままにする」では、保存するときICCプロファイルは埋め込まれません。

 つまり、Adobe Color Engineアプリケーションでは、ドキュメントにICCプロファイルが指定されていなくても、何らかのICCプロファイルを割り当てることが必要なのです。また、割り当てられたICCプロファイルを保存時に含めるかどうかも、決めておきましょう。



DTP-Sウィークリーマガジン/226号/2005.9.20配信




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