|
このコーナーは上高地仁が最近読んだ書籍について、簡単にコメントするコーナーです。紹介した書籍がみなさんのお仕事にお役に立てれば幸いです。また、アマゾンにリンクしてあります。アマゾンにもカスタマープレビューが掲載されていますので、そちらも参考にできます。欲しい書籍は書店で買うべきですが、書店にないときは、アマゾンをご利用ください。アマゾンおすすめ度は当時のものです。 |
|
凡人が最強営業マンに変わる
魔法のセールスノート
佐藤 昌弘 [著]/日本実業出版社/2005年07月初版/価格:1,050円(税込)/アマゾンおすすめ度:
4.5
「この本はライバルだけには読ませたくなかった」とオビに書かれていますが、これほど「セールスとは何か」を、わかりやすく小気味よく解説した本はありません。セールスというのは売り込むことではなく、顧客との間の溝を埋める作業であることがよくわかります。
神田昌典氏のエモーショナル・マーケティングは、2つのマーケティング手法から成り立っています。1つが、ダイレクト・レスポンス・マーケティングです。もう1つが高確率セールスです。ダイレクト・レスポンス・マーケティングは見込み客を集める手法で、アメリカではもう100年くらいの歴史があると言われています。
もう1つの高確率セールスは、日本では『売り込まなくても売れる! 説得いらずの高確率セールス』というタイトルで書籍が販売されているが、説得せずに販売するもっもと洗練された手法です。
ダイレクト・レスポンス・マーケティングでは見込み客を集めることができますが、実際の成約率は未確定です。見込み客の中で誰が買うのか、買うとしたら、こちらの言い値で買ってくるのは誰なのかということが重要です。ひやかしのような「そのうち客」を撃退し、すぐに欲しい「いますぐ客」を探し出して契約しなければなりません。それを行うのが、高確率セールスなのです。
ただ、私は「売り込まなくても売れる!」を読んだときに、これは凄いと思いましたが、日本で使うには、ひと工夫必要ではないかと思っていました。それを果たしたのが本書です。原書の営業マンはかなり高圧的に描かれていますが、本書では親しみやすく抵抗のないトークが紹介されているからです。
この方法はどのようなセールスでも十分通用するでしょう。「いいもの」を販売しているのであれば、すばやく「そのうち客」と「いますぐ客」を見分け、「いますぐ客」の本当のニーズを掴むことで、適切な提案が可能になります。この方法であれば、顧客満足度も極めて高いでしょう。
印刷のような受注産業でも十分活用できます。というより、『売り込まなくても売れる! 説得いらずの高確率セールス』で、サンプルとして取り上げられているのは、パッケージ専門の印刷会社なのです。ですから、すこし工夫すれば、印刷の印刷業でも十分活用できるでしょう。
最大のクロージング手法は「沈黙」なんですよ。私も、営業していたころ、相手からアクションを起こさせるために、わざと黙っていることがよくありました。そういうことを思い出しましたね。
この本だけで最強のセールスマンが生まれるわけではありません。というのは、見込み客を集めるというマーケティングの部分は別だからですね。しかし、集めた見込み客から最大の成果を上げるという意味では、今のところ、本書の右にでるものはなさそうですね。私も★★★★★です。
できれば、一昨年の12月に発行されている『凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストークにも目を通しておくといいでしょう。できれば、原典とも言うべき『売り込まなくても売れる! 説得いらずの高確率セールス』も読んでおきたいものです。
■関連書籍
『凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク(佐藤
昌弘 著)』
『売り込まなくても売れる!
説得いらずの高確率セールス(ジャック・ワース他著)』
DTP-Sウィークリーマガジン 第217号(2005/7/1)に掲載
▲目次に戻る ▲
|
|
一瞬で信じこませる話術コールドリーディング
石井裕之 [著]/あさ出版/2005年06月初版/価格:1,365円(税込)/アマゾンおすすめ度:
4.5
これは占い師のノウハウを公開した本ですね。これができれば、あなたも細木数子になれるかもしれないという「アブナイ」本です。コールドリーディングというのは、「まったく事前の準備なしで初対面の人を占うこと」だそうです。
占い師というのは、テレパシーや霊感があるから(そういう人もいるかも知れませんが)占えるわけではなく、どうにでも解釈できる言葉を投げかけ、それで反応を見て占うそうです。さらに、どうにでも解釈できることや当たったときしかわからないような「予言」を口にするようです。
それで、さも占いで当てたと思わせるのが、このコールドリーディングのテクニックなわけです。人間というのは、自分の見たいことしか見ない都合のいい側面があります。適当に言われたことに「心当たり」があれば、「当たったぞ」と思うわけですね。予言師であるかのように見せかけるテクニックのノウハウがこの方法だそうです。
悪用すると、人を騙してその辺にある壺を何十万、何百万で売りつけることができるようですな。基本的に予言して信頼を得るためのテクニックなので、営業にも役立てることはできそうです。ほんとかよ、という感じですね。私にはできそうもありませんけどね。
リーディングするためには、観察力を鍛える必要があります。営業していても、いろいろな言葉を投げかけて、相手の反応を見ることはよくあります。予言めいた言葉を言わなくても、会話をリードするためには知っておいた方がいいテクニックかもしれません。
この本を読んでから、テレビで芸能人をサカナにする細木数子を見直してみるのも面白いかもしれませんな。今投げかけた言葉は「サトルネガティブだな」とか、分かるようになると、あなたにも、素質があるかも知れませんね。
DTP-Sウィークリーマガジン 第216号(2005/6/28)に掲載
▲目次に戻る ▲
|
|
「マネ」するマーケティング
岡本吏朗 [著]/あさ出版/2004年03月初版/価格:1,470円(税込)/アマゾンおすすめ度:
3.5
すこし古い本ですが、以前からタイトルが気になっていました。私は物まねはあまり好きじゃないんですよね。この本のタイトルは反面教師的に「マネ」すると書いています。しかしマネしている人は、言われなくてもマネするネタをいつも探しているし、マネしたくない人はこういわれると、腰が引けるかも知れませんね。
マネをする方が手っ取り早いというのは確かです。が、マネの方法が難しい。「本質はなんだ」といっても、なかなかねぇ、それがわかれば苦労しません。
本書ではもまず構造に目をつけましょう、と書かれています。もっとわかりやすくという、物語性という持たせた「おはなし」にしましょうということです。売り込みは読まれないけど、物語であれば、読んで貰える可能性が高くなります。
もう1つは、入り口と出口を明確にしましょう。入り口はキャッチコピーですが、これはターゲットを明確にすることです。そして出口は、そのターゲットに「なにをさせたいのか」を明確にすることです。資料を請求させたいのか、注文させたいのかによって、表現方法が変わってきます。
あとキャッチコピーのひな形も30個掲載されています。キャッチコピーを考えるときに詰まったら、こういうひな形に当てはめて考えてみてもいいですね。
アマゾンのカスタマーレビューでは、毀誉褒貶が激しくて、けっこう厳しい評価もありました。が、それだけ、内容的にはよく読ませている本といえるかも知れません。私は、値段以上の価値はあると思いますね。
神田昌典氏のエモーショナル・マーケティングで陥りやすい罠とか、「欠点だってUSPになる」というタイトルはけっこう気になりますよね。読み応えがありました。ただし、マネしつつ、成果を確実に出すということは、自分で考えてくださいね。
DTP-Sウィークリーマガジン 第214号(2005/6/20)に掲載
▲目次に戻る ▲
|
|
あなたの仕事が劇的に変わるメール術
平野友朗 [著]/ビジネス社/2005年06月初版/価格:1,470円(税込)/アマゾンおすすめ度:
5
メールというのは怖いですよね。文字でしかコミュニケーションできないわけですから、ほんのちょっとしたことで、読み手の感情がひねくれていくわけですね。面会して話していたり、電話だとその場の状況に合わせて取り繕うことができますが、メールではそれができません。
さらに、証拠として残ってしまうことも大きなポイントです。うまくいっているときは、いままでのやりとりの流れが分かって重宝することもよくありますが、相手の気持ちや立場を理解して書かないと、トラブルになることもあるわけですな。
私も昔、いただいた「失礼」なメールに、反射的に同じような返事をしてしまったことがあります。すぐ、返信してしまえるというのも、諸刃の剣かもしれませんね。いまでもDTP-Sに残っていますけどね。
メールを書く基本というのは、わかっているようでわからない部分ってありますよね。いろいろ注意点があって、なかなか難しいわけですが、メール一つで新しい人間関係が生まれて、ビジネスに発展することもあります。
本書では、基本的なメールの書き方から、ビジネスで使うメールマガジンの基本、メーリングリストの活用方法などがまとめられています。メールを毎日のように使うのであれば、是非目を通しておきたいものです。
「そんなこと、知ってるよ」というものもあるでしょう。それでも、再確認する上ではよくまとめられています。前著の『<売上10倍!>小さな会社の最強メルマガ営業術』とタブっている部分はありますが、それでもメールの使い方とその限界がよくわかります。
アマゾンでカスタマーレビューが10件あって、すべて五つ星ですね。なかなか珍しい本です。メール使い方を教えてくれる人は、まずいませんので、自分メールに自信のない方には是非おすすめしたい一冊です。
DTP-Sウィークリーマガジン 第213号(2005/6/15)に掲載
▲目次に戻る ▲
|
|
売れる営業トークにはたったひとつの理由がある
木戸 一敏 [著]/大和出版/2005年05月初版/価格:1,570円(税込)/アマゾンおすすめ度:
4
『売れる営業トークにはたったひとつの理由がある』という本を読みました。同じ著者が書いた本を以前立ち読みして、なにかのネタに使ったことがありますが、テーマとしてはさらにつっこんで書いてあります。
基本的には「Yes3連発」というのが「たったひとつの理由」です。昔から「口は1つだが、耳は2つあるだろ。営業の基本はお客さんの話を聞くことだ」とよく言いますね。お客さんの話を聞くと言うより、話に共感することで、お客さんに受け入れられるわけです。受け入れられないと、当然、売り込んでも、こちらの聞いて貰うことはできません。
でもいくら話を聞いていても、お客さんは「俺の話、わかってるのかいな」と思っているわけですね。ですから、それをコミュニケーションするために、「Yes3連発」するわけですね。「私はあなたの言いたいことをよく理解してしています」というメッセージが必要になるわけです。相づちを打つというのも、同じようなことでしょうね。
売る前にまず共感して貰う。それが営業の基本なんでしょうね。この本には売り込み営業するまえとした後の、具体的な方法が解説されています。訪問営業する営業マンには、必須の知識でしょう。
ただ、私が興味深かったのは、最後にあるマーケティング寿命についての話でした。チラシで注文を取っていたのが、いくら工夫して、チラシのレスポンスがなくなって、最後は訪問営業して、売上を回復したという話でした。この本の内容だけだと、詳しいことはわかりませんが、マーケティング手法の寿命は、短くなりつつあるのではないかと感じた次第です。
DTP-Sウィークリーマガジン 第210号(2005/6/1)に掲載
▲目次に戻る ▲
|
DTPやプリプレスの最新の話題を解説するDTP-Sのメールマガジンの登録はこちらから(無料)。
※メールアドレスをご入力下さい。解除はこちらから。 |
このコンテンツは2005年6月1日以降書かれたものです。 |
|
|