Acrobat 7.0 ProからのPDF分版出力ではどのようなことができるでしょうか。ここでは、パダワンのあなたとマスターヨーダの対話形式で、Q&A形式としてまとめてみました。
あなた:マスター、お忙しいと思うのですが、是非Acrobat 7.0 ProのPDF出力についてお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。
マスターヨーダ:まあ、よかろう。こういう時代じゃ、時間はあまりないからの。手短に話すことを心がけよ、パダワンよ。
あなた:それでは、マスター。PDFにプロファイルを埋め込んでいけないのはなぜでしょうか?
マスターヨーダ:簡単じゃな。ICCプロファイルの埋め込みの可否は、出力機に依存するのじゃ。古い出力機のRIPには、ドキュメント内にICCプロファイルが含まれていると、そのプロファイルを読み込んで、別のカラースペースに変換してしまうものがある。そういうRIPでは、ドキュメント内にICCプロファイルが含まれていると、出力時のカラーが変わってしまうことになる。カラーが変わってしまえば、使い物にならんじゃろう。そういうことじゃ。
あなた:そうすると、埋め込んでもいい場合もあるんですか?
マスターヨーダ:そうじゃ。新しいRIP、まあそうじゃな、PostScript 3以降のRIPでは、まず埋め込まれたICCプロファイルは削除して出力できるはずじゃ。D社の古い○○シリーズとか、CEPSの○○○○の初期のバージョンでは、無視できないようになっておる。D社以外でも、同じようにカラー変換するものはあるがな。
それと、新しいものでもRIP側で無視できても、デフォルトの設定でICCプロファイルを読み込むようになっておって、それを変更していないものもあるからのう。
この問題は、EPSの時代にもあった問題じゃ。出力するRIPがわからないときは、埋め込まない方が安全じゃろう。利用したCMYKの作業用スペースを指定すればよいのじゃ。
Acrobat 7.0 Proでは、PDFに埋め込まれたICCプロファイルは簡単に削除できるようになっておる。キャリブレーションを解除するだけじゃ。
あなた:なるほど、そうすると、グラデーションもRIPに依存するんですか?
マスターヨーダ:そのとおりじゃ。PDF内のグラデーションはスムーズシェーディングという形式になっておる。むかしのグラデーションはブレンドに変換して出力しておったが、PDFではグラデーションの品質をコントロールさせるために、スムーズシェーディングという記述方式に変更したのじゃ。
あなた:古いRIPでは、スムーズシェーディングに対応していないわけですね。
マスターヨーダ:古いというより、PDFのネイティブ出力に対応したRIPでも、スムーズシェーディングが出力できないんじゃ。グラデーション部分がベタになってしまったり、グラデーションオブジェクトが失われてしまうこともあるぞ。ネイティブ出力の初期の頃のものでは要注意じゃ。スムーズシェーディングは、ブレンドに変換すれば出力可能じゃ。Acrobat
6.0 Pro以降であれば、ブレンドへの変換はできるぞ。
あなた:WordのドキュメントをCMYKに変換するときの注意点を教えてください。
マスターヨーダ:それは、ここでは教えられんな。自分でテキストを読むことじゃ。じゃが、ヒントをやろう。一番大きな問題は罫線じゃ。罫線は暗黒面の影響を大きく受けておる。これは要注意じゃ。とくに破線や飾り罫線は、画像化されてしまうが、プリンタドライバでは墨版に変換できないのじゃ。
Distiller 7.0の「プレス品質」を使うと強制的にCMYKに変換してしまうじゃろ。そうすると、墨の破線がCMYKのかけ合わせになってしまうのじゃ。それでは印刷できんじゃろうが。
Acrobat 7.0 Proがあれば、CMYKのかけ合わせになったRGBの墨を、墨販のみに変換することも可能じゃぞ。便利なものよのう。
あなた:それ以外にWordからのPDFの注意点はないんですか?
マスターヨーダ:きみもなかなかしつこいのう。WordからのPDFで注意しなければならんのは、フォントじゃ。Windows
98では、PDFに埋め込めないフォントがあるんじゃ。基本的には埋め込めないんじゃが、不思議なことに2000やXPでは埋め込めるんじゃな。フォントの再埋め込みは、基本的にPostScriptファイルを書き出して、Distillerでもう一度PDF化するときに、埋め込めば可能じゃな。
あなた:PDFの出力に対応していない出力機でもPDFは出力できるんですか?
マスターヨーダ:もちろんじゃ。Acrobat 7.0 Proでは、たいていのPDFは出力可能じゃからな。古いRIPでPDFが出力できないもっとも大きな原因は、なにか知っておるか?
あなた:なんでしょう? フォントですか。
マスターヨーダ:なかなか鋭いな、パダワンよ。その通りじゃ。たいていが埋め込みフォントでつまずくのじゃ。互換RIPの場合は、特にそうよのう。解決するのは簡単じゃ。埋め込みフォントをなくしてしまえばよいのじゃ。埋め込みフォントがなければ、PDFの出力は簡単じゃろうて。
あなた:え、どうやって埋め込みフォントをなくすのですか?
マスターヨーダ:Illustratorの出力でもやっておるじゃろう。アウトライン化すればいいのじゃ。なんじゃ、アウトライン化の方法を知らんのか。それは勉強不足じゃな。
すこし前に「アウトラインPDF」というフォーマットがあったじゃろう。あれは、要するにPDFには対応してしても、RIP側で埋め込みフォントの処理が安定していないために、テキストをアウトラインして出力するためフォーマットじゃった。それと同じことを、Acrobat
7.0 Proでもすればいいんじゃ。
[透明の分割・統合]では、透明を貼り込んであれば、PDF内のテキストをすべてアウトラインできるのじゃ。Acrobat 6.0
ProでもPostScriptファイルを書き出せば、テキストのアウトライン化はできたんじゃが、7.0では印刷工程パレットの機能で簡単にできるな。
あなた:透明の含まれていないPDFはどうするのですか?
マスターヨーダ:それくらいは自分で考えることじゃ。透明がなければ、透明を貼り込んでやればいいわけじゃ。難しく考えることはないぞ。TouchUpで透明オブジェクトを貼り込んでやればいいのじゃ。
あなた:マスター、200ページあっても、TouchUpで透明を貼り込むんですか。
マスターヨーダ:ページが多いときは、○○○○○の機能を使うのじゃ。この方法じゃと、何百ページあっても、一発でテキストのアウトライン化ができるからのう。まあ、メモリ次第じゃがな。
テキストがアウトライン化してあれば、Acrobat 7.0 ProからPostScriptファイルとして分版出力すれば、PostScript
Level 2の古い互換RIPでも出力できるはずじゃ。出力データは、PostScriptファイルになっておるからのう。
あなた:マスター、他にはAcrobat 7.0 Proで便利なものはないんですか?
マスターヨーダ:そうじゃな。特色の扱いは極めて便利になっておる。特色を別の特色に変換するのは朝飯前じゃ。Illustratorなどでは、同じ特色で出力しなければならないのに、複数の似たような色の特色を統一しないまま作成されることがすくなくないからの。Acrobat
7.0 Proでは、そういう似たような特色があっても、簡単に統一した特色に変換できるのじゃ。
あなた:PDFに含まれていない特色でも変換できるのですか、マスター?
マスターヨーダ:できるとも。フォースを使うのじゃ。少し手間はかかるが、特色であれば、お好みのCMYKのかけ合わせに変更することも可能じゃ。DIC564の金赤のような特色を、マゼンタ版のみにすることもできるのじゃからな。
あなた:カラーのPDFをグレースケールにすることも可能ですか?
マスターヨーダ:それは[色を置換]で簡単にできる。フォースを使うまでもないぞ。ドットゲインを使い分ければ、グレースケールの濃度もある程度は調整可能じゃ。難しくないぞ。至って簡単じゃ。
あなた:Wordで2色印刷したい場合もできますか?
マスターヨーダ:墨+特色1色であれば、簡単じゃな。Wordで指定するカラーによるがな。CMYKで分解した時に墨版成分を含まないカラーを使えば良いのじゃ。そういうCMYK変換の組み合わせがわかればできる。じゃが、適当に指定したカラーではできん場合もあるぞ。それは要注意じゃ。Wordの制作者に、利用するカラーを指定することじゃな。墨+特色2色も可能じゃがな。ただし、ここでもWordの暗黒面が邪魔しておる。
あなた:なんなんですか、マスター? Wordにある暗黒面って。
マスターヨーダ:よく聞くのじゃぞ、パダワン。WordのグラフィックデータはGDIじゃろう。GDIとはなんぞや。GDIはモニタ表示するための機能じゃ。知っておろうが。
WordからPDFを作成するときは、そのモニタ表示のデータを、PDFの作成でも利用するのじゃ。つまり、PDFになっても、すべてのデータは原則的にRGBじゃな。モニタ表示用のデータじゃからな。
RGBの墨成分のみは、プリンタドライバでCMYKの墨版に変換できるのじゃ。プリンタドライバに「グレーをPostScriptグレーに変換する」というオプションがあるじゃろう。あれじゃな。
しかし、できんものもあるぞ。画像じゃ。プリンタドライバでは、RGB画像はCMYKの墨にはできんのじゃ。これはWordが暗黒面の影響を受けているため。WordからPDFを作成する時に、見えにくい部分なのじゃ。
たとえ、Wordにグレースケール画像を貼り込んでも、PDF化したときはRGBじゃ。したがって、墨+特色で出力する時は、RGB画像をグレースケール画像に変換せねばならん。Wordでの2色印刷は、心して取り組むがよいぞ。
あなた:RGBの画像のみをグレースケールにする方法があるんですか?
マスターヨーダ:あるに決まっておろうが。ただし、技を極めることじゃよ、テキストをよく読んでな。読めば、わかるようになっておる。
カラーマネージメントが理解できれば、それを応用すれば簡単じゃ。RGB画像のみを選択して、グレースケール画像に変換することは可能じゃからな。残念ながら、グレースケール以外のカラーに変換することはできん。たとえ、フォースを使ってもな。残念じゃがな。
あなた:Acrobat 7.0 Proでもできないこともあるんですか?
マスターヨーダ:Acrobat 7.0 Proといえども、万能ではないぞ。極めて使いやすくなっておるがな。
印刷工程パレットでは、任意のオブジェクトを選択して、オーバープリント指定をすることはできん。同じように、任意のオブジェクトの色を変更することもできん。まあ、テキストのカラーは、TouchUpテキストツールで可能じゃがな。それも一括して変換することはできんがな。
それと、Acrobat 7.0 ProからPDFのサイズを大きくすることが可能になったが、すでにメディアサイズでマスクされた部分を表示させることはできん。
ただそうはいってもの、パダワンよ。ややこしいPDFは、すべてのテキストをアウトライン化すればよいのじゃ。あとは、Illustrator
CSで開ければよい。いかようにも修正可能じゃ。ページ数が多い場合は、PDFを作成し直した方がいいであろうが、単ページであれば、Illustrator
CSでほとんど解決できるはずじゃな。
それと、Adobe製でないPDFは保証の限りではないぞ。互換のPDF作成ソフトには、挙動不審のものも少なくないからの。Acrobat
7.0 Proを使いこなせば、対応できることもあるじゃろうがのう。
あなた:ありがとうございました。よく学んで使いこなしてみます。
マスターヨーダ:そうするが良いぞ、パダワンよ。Acrobat 7.0 ProでPDFに変換するポイントは、RIPのホットフォルダに放り込むだけで出力できるPDFに変換することじゃ。そのときに、RIPの機能に依存しないPDFにしてあれば、確実に出力できるはずじゃ。
クリスタルの純度を高めても、ライトセーバーの達人にはなれんからの。技を磨くには、修行が欠かせんぞ。修行を積めば、ライトセーバーのように、Acrobat
7.0 Proも自在に扱うことができようぞ。
うまく使いこなして、マスターを目指すことじゃ、パダワンよ。ちゃんと学べば、難しくないぞ、Acrobat 7.0 Proはな。
(Acrobat 7.0 ProfessionalからPDFを思い通りに出力する方法:Q&Aより)
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